三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、“ガッキー”こと新垣結衣が演じる八重。第2回までに、思い慕っていた源頼朝や、その間にできた子と強引に引き離される悲しい運命が描かれた。今後、ガッキー演じる八重はドラマのなかでどう生きていくのか。『鎌倉殿と呪術 怨霊と怪異の幕府成立史』(ワニブックス)という著書もある歴史作家の島崎晋氏が予測する。
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今年度のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送が始まった。主人公は鎌倉幕府初期の立役者で、源頼朝の義弟でもある北条義時(小栗旬)。やがて義時が直面する承久の乱(1221)は、“朝敵”とされた者が官軍に勝利した日本史上唯一の例で、武士の時代の本格化を象徴する画期的な出来事でもあった。
歴史を語る上で、ドラマが描くこの時代の魅力とは何か。武器と言えば弓矢と刀剣くらいしかない、この頃の合戦には牧歌的な雰囲気が色濃く残る。儒教道徳に染まる前の武士は無作法に見えるかもしれないが、野性味に溢れるその生き様からは郷愁さえ感じられる。
それに加え、早くから語り物として愛され、現在も読み継がれている『平家物語』や『曾我物語』などの影響もあって、平安時代末から鎌倉時代初期のこの時代は、(戦国時代の終盤には一歩譲るにしても)多くの人を惹きつけてやまないのだろう。首都圏在住の人間にしてみれば、日帰りで行ける鎌倉やその周辺に、ドラマゆかりの地が集中しているのもありがたい。
脚本が稀代のヒットメーカーにして、大河ドラマでも『新撰組!』『真田丸』とすでに二度経験済みの三谷幸喜なら、観る側も安心していられる。出だしを見る限り、期待通りのコメディ要素満載で、今後の展開が楽しみでならない。
思い入れしたくなる登場人物は多いが、そのなかでももっとも気になるのは、やはり源頼朝(大泉洋)との関係を裂かれたうえ、可愛い幼男児を殺されてしまった八重(新垣結衣)の今後である。