デジタル化が進み、パソコンやスマホの普及による利便性と引き換えに、目にかかる負担は近年増加の一途をたどっている。
新聞の文字が見えにくい、目がかすむ、視力が落ちた……加齢とともに誰もがそんな目の不調や不安を感じたことがあるはず。その原因を老化によるものとしてあきらめて見過ごしてしまい、自覚症状のないまま気づかずに重症化していたというケースも少なくない。
日々のセルフケアによって目の健康を保ち、生活習慣を改めれば、発症を予防し、進行を遅らせることはできる。わずかな兆候を早期に発見すれば、症状を緩和することはできるのである。
「毎日の心がけとトレーニングによって、目の健康度は大きく変わります。忙しい人でも短時間で、誰もが簡単にできるケアで、一生健康な目を保つことができるのです」(二本松眼科病院副院長 平松類氏)
80代以上ほぼすべての人が発症
誰もが発症しうる目の病気が、白内障だ。その最も多い原因は加齢である。一般的には50代あたりから発症するとされている。自覚症状があってもなくても、白内障の発症率は年齢とともに上昇し、80代以上になるとほぼ100%に達する。
白内障とは眼球の中でレンズの役割を果たす水晶体が白く濁る病気である。濁りの原因は水晶体の細胞内にあるクリスタリンというタンパク質が変化し、加齢とともに凝集して塊となることによる。この濁りが水晶体内の光の通過を妨げ、網膜まで届かなくなり、焦点を結びにくくするのだ。
白内障は加齢とともに進行するが、通常は失明するような重篤な疾患ではない。しかし、他の疾患を併発することもあるので、普段の生活に支障を感じるような場合は、専門医の診察を受けた方がいいだろう。