近頃、テレビ業界で話題になることが多いのが「コア視聴率」という指標だ。各局は、10代から50代もしくは60代までの区分を「コアターゲット」や「コア層」として位置づけ、その層の視聴率を「コア視聴率」として重視するようになった。
若者層をターゲットにしたい企業にとっては、コア視聴率が高いことが、CMを打つ理由になる。テレビ局は、制作費を確保するためにも、コア視聴率を重視する必要があるのだ。
4月改編では、坂上忍 の『バイキングMORE』(フジテレビ系)や『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)などの番組が終了する。これらの大物MCの冠番組が次々と打ち切りになる背景には、コア視聴率を重視する風潮があると、毛利嘉孝・東京藝術大学大学院教授(メディア研究)は分析する。
「坂上さんの『バイキングMORE』が典型的ですが、歯に衣着せぬ物言いが上の世代に響いた一方、若い世代に理解を得られていなかったのでしょう。対照的なのが有吉弘行さんで、同系統のタレントと見られがちですが、旬の若手タレントとうまく番組で絡んでおり、コア層にも面白さが浸透しているため番組が継続しているのでしょう」
その煽りは、NHK紅白歌合戦の司会者にまで及ぶ。
「ウッチャンナンチャン・内村光良さんの『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)も3月いっぱいで打ち切りが決まりました。内村さんは幅広い層から好感度を得ている半面、コア層からの支持はそれほど高くない。そこで、同じく内村さん司会の後継番組では、若手芸人やタレント、モデルと組んでよりコア層にアピールする番組に変える予定です」(フジ局員)
このコア層の視聴率は一般には公開されていない。そのため、「低視聴率なのに打ち切られない」番組が、実は局からは重宝されている例もある。
「代表例が『水曜日のダウンタウン』(TBS系)です。かなりエッジの立ったバラエティなので世帯視聴率は6%前後ですが、コア層、とくに30~40代男女の視聴率がずば抜けているため、企業からの広告が入り続けている」(TBS局員)