北海道教育大学旭川校教授で『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』(小学館)著者の片桐正敏さんによれば、ギフテッドに特に多い特徴は、高い言語力だという。
「以前、英語が得意なギフテッドの幼稚園児の相談を受けたことがあります。その子は、1才の頃にたまたまテレビに映っていた英会話のシーンを気に入って、食い入るように見ていたそうです。保護者が試しに英語の教材を渡したらあっという間に身につけて、日本語よりも英語の方が得意になったそうです。
『アニメ』という言葉が通じず、“カートゥーン(英語でアニメの意味)を見て英語を覚えたの?”と聞いたら“先生、違うよ。cartoonだよ”と、発音を直されてしまいました(笑い)」
ギフテッドの判別方法の1つは、IQが130(アメリカなどでは、州によっては120)以上あるかどうか。アメリカでは、基準以上のIQを持つ子は、特別な学習プログラムを受けることができる。日本でも、昨年の7〜12月に「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」が実施された。文科省は頑なに「ギフテッド」という言葉を用いないが、これは明らかに「ギフテッド教育支援会議」──これは、「神童を支援し、将来立派に国を引っ張ってもらえる人材に育てよう」という優遇措置ではない。ギフテッドの中には、適切な支援なしには、普通の学校生活や家庭生活を送ることもままならない子も少なくないからだ。
「もっとIQが低ければいいのに」
八王子市の東京ウエストインターナショナルスクール学校長の川崎由起子さんは、かつて、アメリカでギフテッドの子供たちの教育に15年にわたって従事していた。
「シリコンバレーにある、IQ135以上のギフテッド専門の学校です。ギフテッドの子供たちはこだわりが強いことも多く、個性のかたまり。なかには、白いパンやクリームチーズといった、白い食べ物しか受けつけない子もいました」(川崎さん・以下同)
川崎さんが教鞭を執っていた学校には、ほかの学校でなじめず、転校してくる子も多くいた。
「教員が説明する前に理解して“つまり、こういうことですね?”と、口に出してしまうのです。ミスもすぐに見つけて指摘するので、生意気だと思われ、教員から疎まれやすい傾向にある」