なんらかの才能をもって生まれてきた「ギフテッド(Gifted)」と呼ばれる子供たち。日本では明確な定義はないが、ギフテッド教育先進国のアメリカでは「学問や言語能力、芸術、創造性、リーダーシップなどさまざまな領域の特定分野において、同年代の子供と比較して突出した才能を持っている子供」とされる。また、ギフテッドの判別方法の1つは、IQが130(アメリカなどでは、州によっては120)以上あるかどうかだという。
しかし、ギフテッドのなかには能力が高すぎるがゆえに周囲となじめないこともあるのだ。
現在、社会福祉法人「ぽぽんがぽん」で、15〜39才の不登校・ひきこもり支援を行っている竹中辰也さんも、IQ132(※「sd15」での表記による。「sd24」ではIQ151になる)のギフテッドだ。関西の名門・同志社大学を卒業している竹中さんだが、その優秀さゆえに、30才で自分がギフテッドだと知るまでの道のりは、とてもつらいものだったと話す。
難病を発症して車いす生活を余儀なくされていた竹中さんの父は「もし自分の病気が息子に遺伝していても、学歴があれば仕事には困らないはず」と考え、竹中さんが小さい頃から教育熱心だった。
「小学4年生のときに入った進学塾で、最難関クラスに飛び級して、塾でトップの成績を取ったんです。父は大喜びでしたが、それ以来、成績がすべてになり、マンガや遊びは禁止されました」(竹中さん・以下同)
読むことを許されたのは、辞書、事典、新聞のみ。しかし竹中さんは、それらを読むことや、1日10時間もの勉強が楽しくて仕方がなかったという。しかし、次第にやる気を失っていった。
「一度書けば何でも覚えられました。でも、算数など、応用を求められる問題はつまらなく感じた。友達と遊ぶこともほとんど許されず、勉強を強制されるのが嫌になってきたんです。
いい成績を取ればほめてもらえますが、点数が悪ければ、友人の目の前でゲーム機を壊されたり、さすがに力は加減していましたが、頭を叩かれたりしていました」