都心からそう遠くもないが、長閑な田園風景が広がる埼玉県白岡市。住宅街の一角には、10日以上も警察の規制線が張り巡らされ、似つかわしくないものものしい雰囲気が漂っている。“現場”となったのは、10人の大家族が住む2階建ての借家だった。
1月15日午前4時50分。リビングの布団に横たわっていた加藤颯太くん(享年15)の意識がもうろうとしているのを母親(38才)が発見し、119番通報した。すぐに救急搬送されたが、颯太くんは18日に息を引き取った。死因は頭部に強い衝撃を受けたことによる急性硬膜下血腫だった。
「母親は救急隊に『数日前にけがをして帰宅した』と説明しています。颯太くんの顔や体には複数の傷、あざがあり、肋骨や腕の骨は折れていた。ひどい暴行を受けたとみて、警察は傷害致死容疑で捜査中です」(全国紙社会部記者)
颯太くんは8人きょうだいの2番目で長男だった。姉は高校生。いちばん下のきょうだいは、まだ年端もいかない幼さだった。近隣住民は颯太くんの印象を次のように話す。
「中学生とは思えないほど細くて小柄だったけど、よく下の子たちを抱っこして遊ばせてあげていました。彼は、家のゴミ出しも担当していた。収集車が来るぎりぎりの朝10時頃になることが多かったかな。近所の人と顔を合わせると笑顔で挨拶していました」
別の近隣住民は、3年前に地域の集会所で行われた子供向けの人形劇での颯太くんの姿が忘れられないと話す。
「颯太くんは小学6年生でした。お姉さんと一緒に下の子たちを連れて、子供だけで来ていたんです。ほかの子たちが騒いで親に叱られるなか、彼だけは正座して、小さいきょうだいを膝に乗せてじっと見ていた。しかも、終わると座布団を持ってきて“どこに片づけますか?”と。しっかりしていて感心しました」
傍から見れば、“優しくて面倒見のいい長男”だった颯太くん。しかし、子供たちを取り巻く家庭環境は異様だった。
「深夜まで家の前で遊んでいるんです。ひどいときには午前2時頃まで騒いでいて、あまりにうるさいので近所の人が警察に通報したこともあります。一度や二度じゃないですよ」(前出・近隣住民)
この家には母親ときょうだい以外に、母親の交際相手の男性が暮らしていた。