歳を重ねるごとに、健康診断では様々な「数値」が上がっていく。それを少しでも下げるため、服用する薬もどんどん増えていく。だが、薬には必ず「副作用」がある。数値を下げるための薬が、ほかの数値を上げる原因に──。あなたも、そんな悪循環に陥っているかもしれない。
本誌・週刊ポスト2022年1月28日号の「飲んだら副作用で血圧が上がる薬」には大きな反響が寄せられた。米国で行なわれた研究で、高血圧患者2.8万人を調査した結果、約2割に「薬の副作用による血圧上昇」が見られたという(昨年11月、米医学誌に掲載)。
研究グループのメンバーであるジョン・ヴィタレロ医師は、「薬剤を服用したことで血圧が上がり、それを治療するために降圧剤がさらに追加される“処方の積み重なり”が起きている」と指摘した上で、「米国同様、日本の高血圧患者でも薬剤による血圧上昇が起きているのでは」と話した。
厚労省の統計(2021年)によると、「7種類以上の薬を処方されている人」は75歳以上では24.2%にのぼり、日本でも多くの患者が「多剤併用」状態にある。
そして多剤併用は、副作用リスクを高める懸念もある。東京大学の研究によると、6種類以上の薬を処方されている高齢患者は、5種類以下の高齢患者に比べて、副作用が起きる確率が10~15%上昇するという。
病気を治すために飲む薬が「数値」を悪化させる。この問題は、血圧に限った話ではない。新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師が言う。
「薬には必ずベネフィットとリスクがあります。重大な副作用については医師も注意を払っていますが、副作用による数値の上昇は、陰に隠れてしまいがちな問題なのです」
今回は、血圧と並び多くの人を悩ませる「血糖値」「コレステロール値」を上げる副作用を持つ薬を表にまとめた。