今春のセンバツ甲子園に出場する32校が1月28日に発表された。昨秋の神宮大会では各校の「1年生」たちが大きな存在感を見せ、センバツの舞台では「新2年生」となる彼らの活躍に注目が集まることになる。高校通算本塁打の記録更新が期待される逸材もいれば、あまりに“独特なフォーム”で観客の目を惹く大砲もいる。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。
* * *
3月18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(センバツ)に出場する全32校が決定し、高校球界の球春到来も間もなくである。注目は、早稲田実業時代の清宮幸太郎(現・北海道日本ハム)が樹立した111本という高校通算本塁打記録の将来的な更新に期待が集まる佐々木麟太郎(岩手・花巻東)や九州国際大付属(福岡)の4番に座る大砲・佐倉侠史朗、広島・広陵の真鍋慧――。この3人の左のスラッガーに、春3回、夏5回の甲子園制覇を誇る大阪桐蔭史上でも最高の投手と評したくなる左腕・前田悠伍を加えた新2年生カルテットだ。
4人の中でもやはり、MLBで活躍する大谷翔平(現・エンゼルス)の後輩で、1年秋の段階で高校通算本塁打を「50」にまで伸ばした佐々木の将来には大きな期待を抱かずにはいられない。同校の佐々木洋監督を父に持ち、中学時代は大谷の父が監督を務める金ケ崎リトルシニアでプレーするなど、幼き日から英才教育を受けてきたサラブレッドである。184センチ、113キロという規格外の体格から異次元のスイングスピードで白球を前方90度の範囲の遥か遠くへ飛ばしていく。その打撃フォームはMLBの本塁打記録を持つバリー・ボンズからヒントを得ているという。
憧れは無論、大谷翔平であり、同じく花巻東の先輩である左腕の菊池雄星(マリナーズよりFAで所属先は未定)だ。
「花巻東を卒業して世界のトップで活躍しているおふたりを目標に……というか、励みにして、自分たちも負けられないという思いです」
東北大会で優勝した昨年11月、佐々木はこれからの課題をこう話していた。
「左投手の対応や、変化球への対応がまだまだ足りない。全国レベルでもしっかり対応できるように、力をつけていきたい。アウトコース、インコースの打ち分けはできるようになってきている。高めの真っ直ぐ、低めの変化球を見極めながら、自分の有利なカウントにもっていくのが自分のバッティングだと思っています。これが全国レベルになると難しくなるのは重々、把握しています。変化球で攻められるのは想定していますので、戦う姿勢を見せていきたい」
入学時に120キロだったという体重は花巻東の猛練習によって自然と絞られてきた。とはいえプロ入りを目指すならば俊敏性に欠ける守備と走塁が大きなハードルだろう。一冬を越えてそのあたりの成長にも注目したい。