ドラマに映画と、今年も芸能界の中心で活躍する菅田将暉(28)。そんな菅田の母親・好身(よしみ)さんが、昨年11月、一家の素顔や子育てについて明かしたエッセイ『3兄弟のあしあと』(辰巳出版)を出版した。菅田を含む個性豊かな3兄弟をいかにして育てたか、母親と父親の役割、子育ての試練やその対処法などを母親の目線で解説した一冊だ。
同書の出版を記念して、家族から見た菅田の素顔や兄弟の関係について、好身さんと父親の菅生新(あらた)さんがインタビューに応じた。(前後編の後編。前編は【菅田将暉の両親が初告白 天才役者を育てた「家族の哲学」】)
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新:長男が『仮面ライダー』の出演をきっかけに家を出て、下の2人がいままで以上に仲良くなった部分もあったね。
好身:次男、三男への影響は大きかったです。長男が早くに社会に出て、役者という仕事をするようになって、下の子たちも将来のことをすごく真剣に考えるようになった。2人とも大学に進学したのですが、三男は入りたい塾を自分で選んで、父親にプレゼンまでしましたから。
新:三男はいま大学4年ですが、奨学金を借りています。それで本人は月々1万5000円くらいか、返している。大学はお金がこれくらいかかるから、ちゃんと自分で支払っていくようにって意識を持って欲しかった。小遣いは一銭も渡してないし、食事代なんかも全部バイト代で賄えと。面倒を見るのは住むところだけ。子どもたちもそれが当たり前になってる。小遣いが足らんからとか、飯食いたいからお金くれと言うてきたことは一度もない。ちなみに三男はバイト先でも菅田将暉の弟だということは言っていなくて、でも顔がそっくりなので、「似てますね」ってしょっちゅう言われるらしいんです。そのたびに、「あーそうですか、よく言われるんですよ」ってとぼけてるそう(笑)。
好身:お金がなかったら自分で働かなければいけない、という考えは3人ともしっかり持っていますよね。
新:個人的な考えですけど、家計に余裕があったとしても、子供が大学に行ったら奨学金を借りさせるのはありだと思ってます。僕はコンサルやってるけど、まずは奨学金を借りている奴から採用しろと言ってます。返さなあかん返済があるから、すぐに会社を辞めることはない。最近は会社をすぐ辞める若者が多いけど、それは親がいけない。僕らの世代の親が子供を甘やかして育ててるから、辞めてもいいよ、いつでも戻ってきていいよって。それは違うと思うんです。
好身:そのあたりが分かっているから、うちの子たちは贅沢をまったく求めない。
新:そう。長男はよく「生きるためにお金は必要だけど、お金に執着はしない」って言うんです。そういう風に考えられる子に育ってくれたのは嬉しいね。
好身:あと話は変わりますけど、うちは小さい頃から子どもたちが大人に囲まれて育っていたじゃないですか。主人が主催する企業経営者の勉強会で受付をやったり、色々な経営者の方と挨拶をしたり会話をする。だから大人に対して怖いという意識がなくて、長男からすると、このあたりの体験も仕事に活きたみたいです。
新:ジュノン・スーパーボーイ・コンテストの時の話ですけど、楽屋にはホンマに顔の綺麗な子ばっかり揃っていてね。でも僕が話しかけると、会話の「か」にもならない。みんな大人と会話ができないんです。年の離れた人と話をする経験がほとんどないんでしょうね。イマドキの子はそれが普通なのかなと、ドキッとした覚えがあります。そんな子がなんぼイケメンで俳優デビューしても、現場で監督やプロデューサーがもういっぺん仕事をしようと思えないでしょう。