東京ディズニーリゾートの最寄り駅として知られるJR舞浜駅では、2022年1月29日始発から蘇我方面行きは東京寄りに、東京方面行きの電車は蘇我寄りへと停車位置が変わる。混雑のため入場制限がかかることも珍しくなかった舞浜駅の混雑緩和をねらって、ホームを約100メートル延伸したからだ。裏技のような今回のホーム延伸工事が混雑解消のために選ばれた背景をライターの小川裕夫氏がレポートする。
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京葉線の舞浜駅は、東京ディズニーリゾートの玄関駅として知られる。同駅のホームは東京ディズニーランドやパークの閉園時間前後は、大混雑となるのが常だった。
これには、明確な理由がある。同駅のホームは一面2線という構造で、のぼり電車とくだり電車が同じホームを共有している。ゆえに、閉園時はディズニーから帰路に着く利用者が集中するのだ。
駅ホームや駅構内が混雑すれば、事故の発生率が高まる。事故が起きれば輸送障害が起こり、それは他線にも影響を及ぼす。そうした事情もあり、舞浜駅の混雑対策はJR東日本千葉支社や東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、地元の浦安市にとって悩みの種になっていた。
混雑を解消する手段は、いくつかある。例えば、一面2線のホームを2面2線に改造してのぼりとくだりのホームを分離する、現在は10両編成で運行されている京葉線の電車を長大編成化する、といった具合だ。どちらも莫大な費用が必要になることは言うまでもないが、それ以上にこれらの大規模改良工事はダイヤや信号施設などの変更も伴う。京葉線全体ならともかく、舞浜駅だけのために着手することは非現実的だろう。
そうした事情から、JR東日本千葉支社とオリエンタルランドは混雑緩和を別の手段で解決することにした。
「大規模な施設改良が難しいという事情から、現在は約200メートルのホームを約300メートルへ延伸しました。ホームが約100メートル長くなったことで、のぼり電車とくだり電車の停車位置をずらすことができます。これにより、乗降客の動線を分散できますので混雑の緩和になると考えています」と話すのはJR東日本千葉支社総務部の広報担当者だ。