雪景色を上手く撮影することは難しい。風景写真家の五島健司氏に、雪景色の撮影で失敗しないための3大ポイントを聞いた。
「雪景色を撮る時に特に注意したいのがシャッタースピードと露出です。雪の状況や機材によっても異なりますが、たとえば降っている雪の粒を写し止めたい時はシャッタースピードを通常の風景を撮影する際よりも速くする必要があります。
露出は時間帯や天気、被写体の有無で左右されます。失敗しがちなのは、晴天で太陽光が当たって輝いている雪原や雪山を撮る時です。雪が太陽光を反射して明るさが増幅するため、オート機能では勝手にシャッタースピードを速くする判断をし、アンダー(暗くなる)になります。この場合は露出補正機能を使い、プラス補正を。雪景色を背景に人物の顔を写す際もプラス補正を心がけてください。標準露出では雪に合わせるため、顔が暗く写ります。
このほか、レンズに雪や水滴が付いていないか頻繁に確認すること。無我夢中で撮っていると意外と気が付かないので要注意です」
五島氏をはじめ、写真家7人が自薦した雪景色の決定的瞬間をお届けする。
■2012年2月20日 福島県・大内宿 撮影/五島健司
「江戸時代に栄えた宿場町『大内宿』の静寂な夜の雪景色です。日中は多くの観光客が訪れる人気の場所なので、通行人がいない夕餉前の時間帯を狙いました。舞い落ちる粉雪を写し出すためストロボで発光し、雪が星のようにちりばめられた幻想的な世界を生み出しました。会津の冬の夜は凍てつく寒さですが、軒先の灯がほのかに周囲を照らし、茅葺屋根の民家の中の家族団欒や囲炉裏の暖かさを感じさせる温もりも表現できました」
【プロフィール】
五島健司/1960年、福島県生まれ。風景写真家。風景を40年以上撮り続け、年間200日以上、キャンピングカーで全国を巡る。YouTubeで日本の風景を紹介する動画を配信中。
■2021年1月18日 北海道・阿寒湖と雄阿寒岳 撮影/縄手英樹
「付近に地面から火山ガスとともに泥や熱水が噴き出ている『ボッケ』という場所があり、厳寒期の阿寒湖でもその近くだけは凍結しません。マイナス15度を超えた寒い朝、凍らない湖の縁に、湖面からのぼる水蒸気が次々に凍りつき繋がった状態が花のように見える現象『フロストフラワー』(写真手前)が現われました。さらに日差し、気温、無風など様々な気象条件が奇跡的に揃い、雄阿寒岳と湖面に映る雄姿、霧氷も同時にとらえることができた1枚です」
【プロフィール】
縄手英樹/1965年、新潟県生まれ。風景写真家。日本全国を渡り歩き、四季折々の自然や街の風景を撮り続ける。主にカレンダー、ポスター、雑誌、パンフレットなどに作品を提供。