2022年4月より、成年年齢が満18歳に引き下げられる。これまでは親権者などの同意がなければ携帯電話や金融商品の購入などが不可能だった18歳、19歳の若者が、経験と知識の乏しさにつけ込まれ、消費者トラブルが増加することが懸念されている。「この年代は、SNSやネット絡みでのトラブルが多いのが特徴」という。ネット関連のトラブル被害に詳しい、成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに、なぜ成年に達したばかりの若者がトラブルに遭いやすいのかについて聞いた。
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4月より、成年年齢が満18歳に引き下げられる。これにより、高校生なども消費者トラブルに巻き込まれる可能性が高くなると注意喚起されていることをご存知だろうか。
Instagramなどを見ると、学生をターゲットとした「大学生が月100万円稼いだ方法」「コーヒー飲みながら月200万円稼ぐ大学生」などの甘い言葉があふれている。札束やブランドバッグなどの写真が使われていることもある。このような投稿を魅力的に思い、実際に手を出してしまう学生は少なくない。
学生の間では、SNSやネット絡みの消費者トラブルは普通に起きることと受け止められている。筆者が教員をする大学でも、「儲け話で数十万円騙されたことがある」「友達が情報商材の宣伝をInstagramに投稿していた」などと言っていた受講生が何人もいた。「友達が副業詐欺に引っかかっているがどうしたらいいか」という相談が寄せられたこともある。
そもそも、成人になりたての若者は、未成年の頃より消費者トラブルが大幅に増える。全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談件数は、未成年(18、19歳)の相談件数に比べて、成人になりたての若者(20~24歳)は1.5倍に増えている(国民生活センター調べ)。
成人になりたての若者は、契約に対する知識や経験に乏しく、内容をよくわからないまま契約してしまうことが多い。一人暮らしを始めたばかりなど、周囲に相談できる相手がいないこともある。経験が乏しく警戒心もないのに、成人だからと自分だけの判断でクレジットカードが作れ、ローンや借金も作れるこの年齢の若者は、業者や悪意ある大人に狙われがちな要注意の年齢なのだ。
未成年者が通販の定期購入やエステ、投資などの契約を結んでも、親権者の同意がなければ「未成年者契約取消権」により、原則として取り消すことができる。ところが成人になった瞬間から自分一人で契約が成り立ち、親が承諾していないからと取り消すことができなくなる。つまり、令和4年4月1日に成年年齢が18歳に引き下げられることで、20歳よりも契約についての知識や経験が乏しい18、19歳の消費者トラブルが増えることが危惧されているのだ。