「特殊清掃」という仕事をご存じだろうか。さまざまな理由で住人が亡くなり、発見されぬまま長時間が経過した住居の原状回復を行う仕事だ。一部の特殊清掃業者は、コロナ禍になってから依頼が5倍も増えたと報じられている。
こうした清掃現場には、ある特徴があるという。特殊清掃業者・こころテラス東海代表の香川浩司さんが語る。
「ワンルームから一戸建てまで依頼はさまざまですが、賃貸アパートに関していうと“ものがない”ケースが珍しくない。片づいているという意味ではなく、ゴミは部屋に散乱しているけれど、生活に必要な家具や衣類が必要最小限しかない状態です。
主には、高齢の生活困窮者で、食生活含めその生活環境はいいとはいえません。さらに、その生活困窮者がコロナによりよけいに社会から孤立する結果となり、孤独死をしてもなかなか発見されにくい状態になっているように思います。
私たちが清掃に入るのは警察の検視が終わって遺体が運び出された後なので、あくまで残された状況からの推測ですが、若くても日頃の食生活が悪く、カップラーメンやコンビニ弁当などのゴミが大量にある場合が見られます。基本的に食生活が偏っているので、知らず知らずに体を壊し、心筋梗塞や脳梗塞などの突然死で亡くなっているケースも多いように思います」
同じく、特殊清掃業者のリスクベネフィット代表の惟村徹さんは、こう指摘する。
「7割近くがトイレの中やその出口、お風呂の脱衣所周辺で亡くなっている。食生活が乱れて血管が弱っている人が、寒暖差によってヒートショックを起こして亡くなるのでしょう。
“孤独死”と聞くと高齢者をイメージするかもしれませんが、若者の単身世帯が増加傾向にあります」
貧困層ではなく、大手企業に勤める独身ビジネスマンの孤独死も近年は増えている。都会の単身者の遺体は、死亡して1、2か月後に発見されることも珍しくないが、そこには驚愕の光景があるという。
「長い時間が経っていても、コンビニ弁当やカップラーメンは腐っていないことが多いんです。これが食べ物なのかと驚くような蛍光色に変色していることもあります。単身者の部屋の場合、キッチン周辺がゴミであふれてきたら危険サインだと肝に銘じてほしい」(惟村さん)
離れて暮らす子供がいるならば、キッチンの写真を撮って送るようにいますぐ連絡しよう。
※女性セブン2022年2月10日号