「期待はありますが、やはり厳しい世界なので不安もありますね。いつもケガをしないように祈っています。あんなに多くの人に(国技館で)応援してもらって、幸せです」
本誌・週刊ポストの取材にそう語ったのは初場所の優勝で大関昇進を決め、場所後に結婚を発表した御嶽海の母・マルガリータさんだ。
長野県出身の御嶽海。コロナ前は地元・木曽郡上松町から大応援団が本場所会場を訪れ、四股名入りタオルを掲げ、大きな声援を送っていた。
一団のなかには「御嶽海」のTシャツを着た数人の外国女性の姿があり、それがフィリピン出身の母・マルガリータさんと、彼女が地元で経営するスナックに勤める女性たちだった。
「マルガリータさんはフィリピンのガールズバンドのメンバーとして来日し、御嶽海の父・大道春男さんと出会った。1990年に20歳で結婚し、フィリピンで御嶽海を産んでいます」(担当記者)
東洋大時代に学生横綱とアマ横綱のタイトルを獲った御嶽海は、史上3人目となる幕下10枚目格付け出しデビューの資格を得たが、当初、父・春男さんは角界入りに後ろ向きだったという。
「厳格で堅実な春男さんは、安定した就職先に進んでほしかったそうで、実業団相撲のある和歌山県庁を勧めたが、迷った末にプロになりたいと言った御嶽海の背中を押したのはマルガリータさんだったそうです」(同前)
初場所千秋楽ではマルガリータさんの姿が枡席にあり、NHK中継でも大写しされたが、そこに春男さんの姿はなかった。マルガリータさんのスナックに連絡すると、従業員女性が事情を説明した。
「優勝するかもしれないというので千秋楽のチケットを手配していたら取れたので急遽、応援に行くことになった。マイカー数台で日帰りだったのでクタクタですよ。お父さんが行かなかった? 目の前で負けるのを見るのが怖くて公民館でテレビ観戦していたんです。負けると帰りの車の中がシーンとしているからね。気持ちわかります」
その後、改めてマルガリータさんに電話で取材できたが、「ママは相撲のことはわからないので、子供の頃から本人の気持ちに任せてきました。自分の決めたことは絶対に守る子でした」と、大関昇進と結婚が重なったことを嬉しそうに語った。
嫁取りの次は、綱取りとなるのか。
※週刊ポスト2022年2月11日号