プロ野球界の話題を独占しているのが、ビッグボスこと日本ハムの新庄剛志・監督だ。2021年10月29日に監督に就任して以降、様々な改革を打ち出し、春季キャンプの直前ミーティングでは自らの考えをまとめた本を全選手に配布することを打ち明けた。
選手たちの抜本的な意識改革に奔走するなか、新庄監督がとくに熱視線を送っている選手がいる。悩める大砲・清宮幸太郎(22)である。
2017年のドラフトで高校生最多タイの7球団が競合したが、入団してからは目立った活躍ができず、プロ4年目の昨季は一軍出場なし。同じ2017年ドラ1で、ライバルとかねて言われているヤクルト・村上宗隆(22)には水をあけられている。
見かねた新庄監督が、昨年の秋季キャンプで、「昔のほうがもっと(打球が)飛んでた。昔のほうがスリムじゃなかった?」と清宮に減量指令を出したことも話題になった。
日ハム番記者が語る。
「ビッグボスからの指令によって清宮は9kgの減量に成功しました。オフの自主トレは、球界を代表するソフトバンクの強打者・柳田悠岐(33)に弟子入りを直訴し、アッパースイングの打撃フォームや打席での考え方など、グラウンド外でも柳田を質問攻めにしていたそうです。
清宮の課題は、打撃の確実性。本人も自覚しており、様々な練習用の変形バットを自主トレに持ち込んで、フォームの抜本的な改革にも取り組んでいた。今年の清宮は目の色が違いますね」
今季の目標には、30本塁打を掲げ、横一線の競争でレギュラー奪取に向けて気合十分。チームの中核を担う役割も期待されそうだ。
だが、現役時代にヤクルト、巨人、阪神で4番打者を務めた野球評論家の広澤克実氏は、清宮の取り組みに対して、懸念を口にする。
「清宮君の現在の欠点は、変化球に対して体が前に出て凡打の山を築いてしまうことですが、それを修正する手段としてのダイエットが正しいのか。痩せて低目の変化球に対応できるなら、野球選手は全員痩せたほうがいいです。それに清宮君の体は脂肪太りではない。野球選手が通常の練習をして、試合に出場しているならそれが適正体重だと言えます。
もし“変化球に対応できるようにする”という目的でダイエットに励んでいるのなら打撃の向上は見込めないでしょう」
さらには、柳田との合同自主トレ中にコロナに感染したことが判明し、春季キャンプはBOSS組(二軍。一軍はBIG組)スタートになった。
「隔離生活で運動量が減るので、太りやすい体質の清宮は、体重が元に戻る可能性がある。本人の気持ちまで落ち込まないといいのですが……」(別の日ハム番記者)
※週刊ポスト2022年2月11日号