菅氏と維新の太いパイプは今なお健在だ。菅氏は「維新は明確に行政改革などを掲げている。反対のための反対でなく是々非々だ。自民党と建設的な方向で連携を進めたほうがいい」(12月21日付日経インタビュー)と語り、今年1月1日には、菅氏の側近中の側近といわれた和泉洋人・前首相補佐官が大阪府と大阪市の特別顧問に招かれた。参院選後の連携を視野に入れた動きと見てよさそうだ。
しかも、維新の松井代表は岸田首相が掲げる新しい資本主義に対して「規制を強化し、政府が民間の活動に物を言っていくような雰囲気がする」と批判している。自民党と維新の連立交渉で維新側が「首相交代」を条件に突きつければ、岸田政権は菅政権より短命に終わりかねない。
参院選が政権交代の引き金を引いたケースは過去何回もある。かつて橋本龍太郎内閣は参院選敗北の責任を取って総辞職し、第1次安倍内閣も参院選大敗による衆参ねじれの中で退陣に追い込まれた。
今年の参院選は、岸田首相が勝って長期政権の足がかりを作るか、それとも負けて菅氏が復権するか、権力ドラマの分かれ道になりそうだ。
※週刊ポスト2022年2月11日号