スポーツ

蛯名正義氏 乗った瞬間「これは走るな!」と実感した名馬を振り返る

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビジョー厩舎』から、フェノーメノ、イスラボニータら、乗ってわかる「いい馬」についてお届けする。

 * * *
 フェノーメノ、イスラボニータはどちらも社台グループの一口クラブの所属馬でGIを勝ってくれました。クラブのパーティーなどで会員さんとお話しする機会があった頃、どんな馬を選べばいいのか訊かれることがありましたが、見て「いい馬」はいっぱいいます(笑)。

 特に社台グループの馬は血統も一流で、見栄えも顔つきもいい。でも募集の時期には、どの馬もまだ人を乗せたことがないわけです。乗ったら「ああ走りそうだな」と感じることがあるんですけど、「いい走りを見せて競馬でいい成績をあげるのがいい馬です」。これぐらいしか言えなくてすみません(笑)。

 ステイゴールド産駒のフェノーメノにはダービートライアルの青葉賞から乗るようになりました。初めて乗った時、キレるというより、長くいい脚を使うタイプだと感じました。

 青葉賞は2着に2馬身半差をつける強い競馬でダービーに向かいました。勝ったことがなかったので(笑)、自信があるかと訊かれると困ったのですが、いい競馬をするとは思っていました。青葉賞より時計を2秒近く詰めましたがハナ差2着。勝ったのは青葉賞の前までこの馬に乗っていた岩田康誠騎手のディープブリランテでした。

 秋はセントライト記念を勝ちますが、菊花賞ではなく天皇賞(秋)に向かってこれもエイシンフラッシュの2着。古馬相手なので立派な成績ですが、いまでも菊花賞に行ったら勝ったんじゃないかなあと思うことがあります。あくまで結果論ですけど、4歳、5歳と天皇賞(春)を連覇するわけですから(笑)。

 折り合いも難しくなくて、ゆったり自分のリズムで走れる馬なので、とても組み立てやすかった。

 僕はどちらかと言えば長い距離の方が好きです。自分の中でいろいろ考えながら、いかにスタミナを残して走り切るかを考えて乗ることができる。相手の流れやペースを見て自分から動くこともできるし、前半で位置取りなどを失敗しても挽回できる。自分では自覚していませんでしたが、トータルでも長い距離の方が結果を出しているみたいです。その割には長距離の騎乗依頼が少ないなと思いましたけど(笑)。

 フジキセキ産駒のイスラボニータにはデビュー戦から乗りました。乗った瞬間の印象は強烈で「ああ、これは走るな!」。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン