北京五輪開催を迎えて、新型コロナウイルス対策を強化する中国で、PCR検査の問題点が指摘されている。1月27日、ロシアのバイアスロンチームの監督が空港検疫で陽性となったが、翌日の再検査では陰性となった。このように陽性判定の後に改めて検査した結果、陰性となるケースが開幕7日前の時点で、すでに10件発生しているのだ。これらの“偽陽性”増加の背景には、“ほかの理由”があるとみている五輪関係者もいる。
「開幕直前の1月下旬、ドイツのスノーボード統括団体のミヒャエル・ヘルツ会長が爆弾発言をしました。
昨年11月に北京で行われた五輪テストイベントで、陽性が判明したドイツ人コーチが非人道的な扱いを受けたと告発。その後、そのコーチは偽陽性だったことが判明しました。会長は“検査は比較的簡易なもので、後から偽陽性だったと弁解することもできる。中国でフェアプレーが見られるのか疑わしい”と発言。つまり、検査結果が恣意的に歪められている可能性に言及したのです。
中国はいまスノーボードに力を入れ、今回の五輪では同競技で初の金メダルを狙っています。検査でライバルを排除することはないと思いたいですが」(スポーツライター)
消毒の徹底ぶりも選手たちのなかには“過剰”と感じる人もいるようだ。
「空港とホテル、選手村、試合会場などを結ぶバスの車内は、座席や床が濡れて足を滑らせるほどの消毒液の量で、鼻の奥がツンと痛いぐらい。選手たちが移動の際に体調を崩さないか心配です」(現地入りした記者)
昨夏の東京五輪では、飲食店の個室やコンビニの利用を特例として容認したことで、街に出てはしゃぐ選手や五輪関係者が相次いだ。この前例を受け、北京では五輪関係者と市民の隔離が徹底されている。それは事故が起きても守らなくてはいけないというから驚きだ。
「北京市の交通当局は、五輪関係者が乗る車との間で事故が起きても『相手車両には近づくな』『会話もするな』と通達しています。つまり、五輪関係者はけがをしていても、かんたんには救助してもらえないのです」(現地ジャーナリスト)
選手たちは行動制限以外でも不自由を余儀なくされている。
「スマホを通じて中国当局に監視されたり、情報が抜き取られたりする懸念から、アメリカやカナダはスマホ不携帯を推奨しています」(前出・スポーツライター)