麒麟・川島明が新型コロナ感染によりMCを務める朝の情報番組『ラヴィット!』(TBS系)を欠席。連日、コメンテーター席にいるレギュラー陣の1人が代役MCを務めている。アインシュタインの河井ゆずる、ニューヨークの屋敷裕政ら若手芸人が抜擢され、健闘が称えられている中、予想外に苦戦を強いられたと言われるのがアンタッチャブルの柴田英嗣だった。
2月2日放送回で水曜レギュラーの中から代役MCに起用された柴田だが、この日はMCの川島に加え、レギュラーコメンテーターの見取り図も不在。代役としてマヂカルラブリー、ゲストとして真空ジェシカが出演したが、その2組が空回りし続け、さすがの柴田も対応が追いつかず、スタジオは微妙な空気に。ネット上には「柴田の負担がきつすぎる」「2組が目立とうとし過ぎ」など番組内容への批判が相次いだが、ベテラン芸能ライターは「誰のせいでもない」と同情的だ。
「生放送ならではの自由なかけ合いこそが『ラヴィット!』の魅力。マヂカルラブリー、真空ジェシカの2組もそのことを理解した上で役割を果たそうとしただけです。が、ふだんなら川島、柴田の2人でボケをさばいていくのに対して、この日は柴田1人ですべてに対応しなければいけなかった。臨機応変な対応力には定評のある柴田でも、さすがに限界があったということでしょう。MCの川島の重要性とともに、いかに『裏回し』が不可欠かがよく分かりました」
裏回しとは、テレビ用語のひとつで、MCが振った話題を雛壇で盛り上げる際のリーダー的存在を指す。『ラヴィット!』では曜日ごとにこの裏回しが決まっており、水曜は柴田が務めている。その柴田がMCに回ったことで、雛壇が統制を欠く事態になってしまったのだという。
「アインシュタイン河井がMCに起用された火曜はビビる大木、ニューヨーク屋敷が起用された木曜はNON STYLEが裏回しに努めていたため、若手MCの新鮮さがありながら、番組自体は調和を保った進行ができていました。
水曜も本来ならレギュラーである見取り図のどちらかがMCを務め、柴田がサポートする布陣がベストだったはずですが、2人も欠席となってしまったため、柴田がやむを得ずMCに回ることになってしまった。番組側も苦渋の選択だったはずです」(同前)
柴田の裏回しとしての実力を世に知らしめたのが、昨年10月20日に放送された『水曜日のダウンタウン』だった。『ラヴィット!』にゲストとして出演した歌手の「あの」が、大喜利芸人たちに“遠隔操作”されて珍回答を連発、スタジオ中を困惑させるというドッキリ企画だったが、その日出演していた柴田がいち早く危険を察知し、スパッと回答して進行を促した。『水ダウ』の放送後、SNS上には「暴走を止めた」「柴田有能すぎる」など絶賛の声が相次いだ。ある放送作家はこう指摘する。
「裏回しというと、雛壇を盛り上げる役割が注目されがちですが、それ以上に大事なのは、雛壇を緩やかにコントロールし、番組の進行をサポートする役割です。とくに情報番組の場合は、裏回しのツッコミをきっかけに次の進行に移るケースが多く、テンポの良い番組進行は彼らの腕にかかっている。『ヒルナンデス』(日本テレビ系)でも、曜日ごとに陣内智則、サバンナ高橋といった安定感のある中堅芸人が裏回しを務めています。今回の『ラヴィット!』で、いかに裏回しが情報番組のカギを握る存在かがよく分かりました」
MC柴田の苦戦は、結果として、裏回し・柴田の有能さを浮き上がらせた。