放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、瑞々しい演技が話題の深津絵里(49才)。初登場から1か月以上経った今も、SNSなどでは「深津絵里、恐るべし」、「まるで少女のよう」といった声が多く上がり、注目を集め続けている。称賛を集める深津の演技技術について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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朝ドラとしては異例の3人の俳優がヒロインを演じ、3世代にわたる100年の家族の物語を描いた『カムカムエヴリバディ』。大河ドラマ『平清盛』や朝ドラ『ちりとてちん』(NHK)、映画『居眠り磐音』などを手掛けてきた藤本有紀(54才)が脚本を担当し、笑いを織り交ぜたハートフルな展開でお茶の間の朝を明るく彩っている。物語の主な舞台を岡山、大阪、京都へと移しながら、上白石萌音(24才)が1人目のヒロイン・安子を、深津が2人目のヒロイン・るいを、そして川栄李奈(26才)が3人目のヒロイン・ひなたを演じている。
“るい編”の簡単なあらすじはこうだ。安子(上白石)の娘として生まれ、18才まで岡山で育ったるい(深津)。幼い頃に母と生き別れた彼女は叔父たちの元で生活していたが、“自分らしく自由に生きていきたい”と願い、1人大阪へ。その先で出会った心優しい人々に囲まれながら生活を送るうち、ジャズに情熱を注ぐ素敵な青年と巡り合うことで、大きな転機を迎える。
深津演じる2代目ヒロイン・るいが初登場した第38話は、大きな話題となったように衝撃的だった。俳優個人の年齢ばかりにあまり言及したくはないが、深津の演じる18才のるいは間違いなく“少女”だったのだ。深津本人の実年齢とは30も離れており、いくら彼女の若々しい見た目にそれらしいメイクを施したからといって、そう成立するものではないだろう。あどけなさを感じさせる高めの「第一声」は、一瞬にして視聴者に少女のイメージを与えていた。39話で本格的に登場すると、どこか不安定な口調や伏し目がちな表情、揺れる視線で、るいがまだ幼い少女であることをしっかりと示した。深津は、長いキャリアで培ってきた“技術”によって、るいというキャラクターを表現したのだ。