合点がいかない──そう思っている視聴者もいるのではないか。2月2日、NHKの長寿番組『ガッテン!』が27年の歴史に幕を下ろしたが、終わり方があまりに不自然だった。落語家の立川志の輔(67才)を司会に据え、『ためしてガッテン』としてスタートしたのが1995年。2016年に『ガッテン!』に改題したが、健康や暮らしに関する身近な話題を科学的にわかりやすく説明し、生活に役立つ知識や裏技を紹介する番組内容は変わらず、主に中高年の視聴者から支持を集めていた。
「1月19日放送回の世帯視聴率は12.6%で、人気に陰りが出ていたわけではありません。終わるにしても番組改編期の3月末終了が普通ですが、1月26日に“2月2日の放送をもって終了”とNHKが突然発表したのです。これだけの長寿番組の最終回が特番でもなく、通常放送。誰もが円満終了だと思っていません。トラブルの末の打ち切りだという声すらあります」(広告代理店関係者)
終了の理由は、2020年に就任した前田晃伸会長による「特命プロジェクト」だという。
「前田会長は、次々と改革を打ち出しています。人事面では年功序列を打ち破り、ついには番組にまでメスを入れ始めた。
通常、番組改編は1年ほどかけて検討されますが、“特命”ですから会長の意向次第。『ガッテン!』終了に関しては“視聴者の若返りを図る”のが大きな理由です。ただ、昨年の紅白歌合戦が、視聴者の若返りを狙ったことで一部から不評を買ったように、急激な変化は思わぬトラブルを招きます。高齢者の視聴者層が蔑ろになっていないか、と局員のなかには不満を覚える人も多い」(NHK関係者)
納得がいかない関係者の1人が司会の志の輔だった。志の輔が番組終了を知らされたのは、昨年11月のことだったという。
「NHKの部長と2人きりの席で伝えられたそうですが、志の輔さんとしては寝耳に水。相談ではなく、決定事項として伝えられたそうです。契約書では3か月前の通達でいつでも契約を終了できることになっていたようで、そこで2月で終わりとなったとか。事実上の打ち切りですね。
彼は非常に繊細な人で、落語界では“ガラスのハートの持ち主”といわれているんです。昨年の12月以降、志の輔さんはかなり落ち込んでいて、NHKとの間に“亀裂が入った”と周囲は言っていました」(別のNHK関係者)
志の輔にとってこの番組はライフワークのようなものだった。雑誌のインタビューで「完全に自分の一部」と表現していたほど。
「志の輔さんは番組の打ち合わせだけでなく、編集作業にも加わっていました。スタッフがどんどん入れ代わって若返っていくなかで、年齢がいちばん上になった自分が引っ張っていかなくては、という気持ちも強かったんです。
スタッフからも信頼されていました。あるとき、美術スタッフが作ったボードが番組で使われず無駄になったのですが、志の輔さんはそのボードを自宅に持ち帰って“せっかく作ってくれたんだから”と玄関に飾ったんです。彼ほど番組のことを考えている人はいません。打ち切るにしても、せめて半年ぐらい準備をさせてほしかった」(前出・別のNHK関係者)