変異株が次々に登場し、感染者数も“過去最多”を記録し続けて長期化するコロナ禍。医療機関への受診控えの風潮もあり、一度の受診でこれまでより多くの薬をもらったり、電話のみで薬が処方されたりする「長期処方」が広く適用されるようになった。
特に生活習慣病をはじめとした慢性疾患をかかえる人は、手元に薬さえあれば病院に行かずにステイホームしながら治療を続けられる。ふたたび「医療崩壊」が叫ばれるいま、病院で出された薬はある意味「命綱」となっている。
ところが、その頼りにしていた処方薬で、かえって健康が損なわれるケースもあるという。順天堂大学附属順天堂医院の非常勤助教で『医者が教える「ヤブ医者」の見分け方』の著書がある金子俊之さんが指摘する。
「『医者』という職業でひとまとめになってはいるものの、その経験や知識は人によって大きな差があります。特に薬の処方はその病気に関する専門知識や治療経験、新薬の情報などさまざまなスキルをもって臨まなければならないのに、きちんと勉強せずに、また患者のことを考えずに漫然と処方する医師が少なからずいるのは事実です」
では、今日のお薬出しておきますね──そうにっこり笑って処方箋を書くウラで、医師は一体何を考えているのか。そしてその処方薬について、本当はどう思っているのか。医師に話を聞いた。
【座談会に参加した現役医師たち】
A男(50才)内科クリニックを開業
B子(42才)総合病院の内科勤務
C彦(54才)心療内科・精神科クリニックを開業
D美(49才)総合病院の整形外科勤務
配合剤は副作用を感じやすい
生活が豊かになった現代で、ある意味“ぜいたく病”といわれる生活習慣病に悩む人が増え、薬を処方されている人は多い。その1つが高血圧だ。厚労省の発表によると、70才以上の女性のうち、血圧を下げる薬をのんでいる人の割合は50.8%。つまり半数以上が服用している計算になるため、降圧剤は医療現場でも頻繁に処方されている薬の1つだが、ものによっては、懐疑的な意見を持つ医師は少なくない。
B子「降圧剤は血圧を下げるメカニズムによって何種類かに分類できますが、個人的にのみたくないと思っているのが末梢血管や冠動脈を広げて血圧を下げる『カルシウム拮抗剤』と体内の血圧を上げる物質の働きを抑える『ARB』を1錠にまとめた配合剤です。患者さんは『服用が1錠で済むから楽でいい』と言いますが、複数の医薬品が含まれているから副作用も出やすいと感じます。血圧が急激に低下して、めまいやふらつきを起こしたケースも報告されています」
A男「たしかに配合剤は添加物も多いし、気が進みませんね。処方薬ではありませんが、私は同じ理由で総合感冒薬ものまないようにしています。あらゆる症状に対応できる半面、関係のない症状の薬も体に入れることになるからです。薬には必ず副作用がつきもので、不要な薬を服用するリスクはできる限り避けたいというのが本音です」
D美「副作用といえば、コレステロール値を下げる代表的な薬の『スタチン』も手足のしびれやけいれん、強い筋肉痛など副作用が複数報告されている。なるべくならのみたくないですね」