春季キャンプが始まり、連日「ビッグボス」こと日本ハム・新庄剛志監督が球界の話題を独占する一方で、球界関係者から注目が集まっているのが阪神だ。矢野燿大監督がキャンプイン前日の全体ミーティングで、「今季限りで退団」の意向を表明するというまさかの行動に出たからだ。スポーツ紙デスクが言う。
「選手たちは驚いていたそうです。翌日から春季キャンプが始まるというタイミングで監督が“今季限りで辞める”と言うなんて想像できませんからね。矢野監督からすればシーズン中に自身の去就が報じられることで選手に迷惑をかけたくないという思いがあったかもしれません。ただ異例の退任発表で、春季キャンプの内容より次期監督の予想で盛り上がってしまっている。良かったのか悪かったのかわかりませんね……」
阪神は岡田彰布政権でリーグ優勝を飾った2005年から16年栄冠から遠ざかっている。矢野監督は2019年から就任以降3年連続Aクラスで、2020年から2年連続2位とあと一歩届かない。退路を断った今年は17年ぶりのリーグ優勝を目指すが、キー局野球中継担当者は「選手の気持ちがついていくのか」と懸念を口にする。
「矢野監督も最後の1年だから自分のやりたいようにやるでしょう。昨季終盤に正捕手の梅野隆太郎がベンチを温める状況が続きました。梅野はFA権の行使で他球団移籍も視野に入れて悩んだ末に残留しましたが、今年も坂本誠志郎を中心に据える可能性がある。坂本は確かに良い捕手ですが、扇の要は梅野ですよ。冷遇されるようだとモチベーションにも影響してくる」
阪神ファンは矢野監督の「後継者」に早くも関心を寄せている。平田勝2軍監督の内部昇格、功労者でもあるOBの野球評論家・藤川球児氏、鳥谷敬氏らの名前が挙がるが、スポーツ紙記者は否定的な見方をする。
「藤川氏、鳥谷氏はコーチ経験がないのにいきなり監督をやらせるのはリスクが大きい。藤川氏は卓越した野球理論で解説者として評価が高いが、コーチとして選手に指導する経験はまた別物です。コーチとしてユニフォームを着て現場を経験することで得られることがたくさんある。監督に就任するのはその後でも遅くないでしょう」