高卒2年目でショートのレギュラーを二岡智宏から奪い取った巨人・坂本勇人が昨年12月で33歳を迎えた。これまで14年連続100試合以上に出場し、3割を5度記録。2019年の40発を筆頭に15本塁打以上を10度も放ち、ゴールデングラブ賞も5度獲得しており、“歴代最強のショート”との呼び声も高い。プロ野球担当記者が話す。
「野手では捕手の次に重労働のショートで14年もレギュラーを張り続け、打撃タイトルやMVPまで取る選手は前代未聞と言っていいでしょう。かつての名ショートは30歳を超えると他のポジションにコンバートされています」(以下同)
イチローに破られるまで208打席連続無三振の日本記録を保持していた阪神の藤田平は31歳を迎える年にショートに加え、ファーストも守り始めた。新人の年に27本塁打を打って4年目で首位打者を獲得した元祖・大型ショートの豊田泰光は31歳でファースト、西武の黄金時代のチームリーダーでMVPも獲得した石毛宏典、“ブンブン丸”の異名で5年連続30本塁打以上を放ったヤクルトの池山隆寛は、ともに31歳でサードに転向している。
ショートで連続守備機会無失策の日本記録を樹立した大洋の山下大輔は33歳でセカンド、33試合連続安打の日本記録保持者で広島の黄金時代のリードオフマンだった高橋慶彦は33歳でレフト、トリプルスリーも達成した広島の野村謙二郎は33歳になる年にファーストやサードも守り始めている。華麗な守備で“牛若丸”と呼ばれた阪神の吉田義男は34歳でセカンドに転向している。
「昔は選手寿命も短かったですし、スポーツ科学も発達していなかった。宇野や石毛、池山、山下、高橋、野村など1970年代後半以降、特に1980年代や1990年代に活躍した選手はコンクリートのような人工芝でプレーしていたため、今よりも負担が大きかった。最近の人工芝は素材も柔らかくなっており、年齢が高くなってもショートを務める選手はいます」
二塁手の荒木雅博と“アライバ”コンビで魅せた中日の井端弘和は35歳でセカンド、キャプテンとしてチームを牽引した阪神の鳥谷敬は36歳でサード、五輪やWBCでもキャプテンを務めたヤクルトの宮本慎也は37歳のシーズン途中にサードに転向している。