歳を重ねるごとに薬の数は増えがちだが、注意したいのが様々な「副作用リスク」だ。当然、どの薬にも効能とともに副作用はあるが、飲み続けることで体を「老化」させるリスクのある薬も──単に“歳のせいか”と片付けていいのか。
『週刊ポスト』は、医薬品類の承認審査や安全対策を担うPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで公開されている医薬品の添付文書から、副作用に「骨粗鬆症」の記載がある薬をリストアップ。専門家の協力のもと、中高年が服用する機会の多い分類の薬について表にまとめた。
薬によって骨粗鬆症を引き起こすことを「薬剤性骨粗鬆症」と呼ぶ。添付文書の副作用欄に「骨粗鬆症」と記載している薬もある。国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師が語る。
「アレルギー性の湿疹や鼻炎など炎症を治したりするステロイド剤は、骨からカルシウムを取り出し、弱っている細胞を修復する働きがあります。人間にとってカルシウムは非常に重要で、普段は骨に蓄積されているのですが、いざという時には様々な働きにより、細胞を調節します。ステロイド剤はまさにそうした働きを促進するのですが、骨からカルシウムが溶け出すことによって、骨を弱めてしまうリスクもあります」
銀座薬局代表薬剤師の長澤育弘氏も指摘する。
「ステロイド剤や免疫抑制剤は体の免疫を抑える薬ですが、骨を造る『骨芽細胞』を抑制する働きもあり、骨が脆くなる可能性があります。アトピー患者が長年ステロイド剤を服用するケースなどは注意が必要です」