帽子を斜めにかぶり、右耳の間に花が差し込まれていたが、これは生花で作られており、西澤さんが針金などを使って毎回加工していたという。
ファンの間で「金キャミ」と語り継がれているのは、『さよならをいう気もない』(1977年1月10日)の衣装。歌唱前のトークでは金色のジャケットを着ているが、イントロが流れる前にパッと脱ぎ捨て、キャミソール姿に。髪が風になびき、肩ひもがはらりと落ちる様子にファンはテレビの前で歓声を上げながら見ていたという。
「『夜ヒット』でのジュリーは、『LOVE(抱きしめたい)』のように雨の演出が多かったですが、『指』(1985年11月13日)では滝のような雨に打たれ、深い池の中で歌ったり、モデルの山口小夜子さん(享年57)と扇子で隠したキスシーンがあった『ヴォラーレ』(1986年6月11日)も、彼ならではの世界観でした」(ジュリーファン歴54年の國府田公子さん)
『女神』(1986年10月22日)では、左胸に乳房がついている革のジャケットを羽織り、それをなでるしぐさ、喘ぎ声といった、退廃的なパフォーマンスも印象深かった。
【プロフィール】
タンゴ歌手・西澤守さん /1978年2月から1年間ジュリーの付き人を務めた後、1980年に歌手デビュー。NHKの朝ドラ『なっちゃんの写真館』に出演し、俳優としても活躍、現在はタンゴ歌手として活動している。
音楽プロデューサー・木崎賢治さん/渡辺音楽出版で、沢田研二、吉川晃司らの制作を手掛けた後に独立。その後、槇原敬之、BUNP OF CHICKENなどをプロデュースし、数多くのヒット曲を生み出す。著書に『プロデュースの基本』(集英社インターナショナル)。
取材・文/山下和恵 イラスト/諏岸 写真/女性セブン写真部
※女性セブン2022年2月17・24日号