2月7日、地方競馬の兵庫競馬のアイドルジョッキー・佐々木世麗(せれい)騎手(19)が新子雅司厩舎(園田)から中塚猛厩舎(園田)に移籍したことが発表された。異例とも言える移籍の背景に何があったのか、所属変更を発表した兵庫県競馬組合に聞いた。
佐々木騎手は昨年4月に兵庫競馬初の女性騎手としてデビュー。デビュー2日目のメインレースで逃げ切って初優勝を飾ると、その年は兵庫県の新人騎手としては最多の87勝をマーク。これまでの新人最多勝記録だった44勝を大幅に更新した。この成績は、地方競馬の女性騎手新人最多記録(66勝)も抜き、地方競馬の「NARグランプリ2021」で優秀女性騎手賞を受賞した。
順風満帆に見えたが、今年に入って1月4日に園田競馬で騎乗したあと、体調不良のため休養。それから1か月が過ぎ、いきなり今回の所属厩舎の変更が発表されたのだ。「新人騎手の厩舎変更など前例がない」(スポーツ紙担当記者)ということもあり、関係者の注目を集めている。
「競馬界は男社会で、過去に何度も女性関係者へのセクハラが問題になったことがある。岐阜の笠松競馬場では昨年、女性厩務(きゅうむ)員らへのセクハラが発覚した男性調教師が処分を受けている。中央競馬では調教師から騎手へのパワハラが裁判沙汰にもなった。佐々木騎手は休養して広島の実家に戻っていたとされるが、厩舎と何かトラブルがあったのではないかと心配されていた」(同前)
佐々木騎手の人気は高く、追っかけもいるほどだ。騎乗すれば当然、馬券が売れる。「どのような理由であれ、主催者側としては佐々木騎手には早く休養から復帰して、騎乗を続けてほしい。そうしたなかで、所属厩舎移籍という発表がなされた」(前出・担当記者)というわけである。
兵庫県競馬組合に佐々木騎手の厩舎移籍の理由を確認したところ、こう答えた。
「理由は聞けていないが、厩舎の移籍は年間2~3ケースあります。人間関係の小さなトラブルもあれば、騎乗機会を求めて移籍することもある。今回はセクハラ、パワハラというものではなく、体調不良だったようです。心機一転、頑張りたいということでした」