病院に行って診察を受ければ、最後は薬をもらっておしまい──というのが当たり前だが、たとえ医師が処方した薬でも、服用にはリスクがあるものも存在する。処方箋を書くウラで、医師は一体何を考えているのか。そしてその処方薬について、本当はどう思っているのか。医師に話を聞いた。
【座談会に参加した現役医師たち】
A男(50才)内科クリニックを開業
B子(42才)総合病院の内科勤務
C彦(54才)心療内科・精神科クリニックを開業
D美(49才)総合病院の整形外科勤務
新型コロナウイルスの拡大で訪れる人が増加したのは、呼吸器内科や発熱外来だけではない。コロナ禍における急激な環境の変化により、心療内科や精神科にかかる患者がいま、急激に増えている。しかしそこで処方される薬の中には、注意が必要なものも少なくない。
A男「『エチゾラム』に代表される睡眠導入剤は内科でも処方されますが、知識がないのに、患者に言われるがまま処方する専門外の医師があまりにも多い。副作用や依存性の恐ろしさを知らずに長期間処方されて、薬なしでは眠れなくなったり、転倒しやすくなってしまった例をたくさん見てきました。私自身は、のむのをやめておきたいと強く思いますね」
B子「抗うつ薬や睡眠薬は副作用も強く、合併症を引き起こしやすいことが知られています。なかにはパーキンソン病のような重篤な病気につながるケースもある。にもかかわらず、多くの種類の薬をのまされている患者は少なくありません。
実際にある精神病院から転院してきた人の中に、ひどい処方をされていた人がいました。まず、種類が多すぎるうえに依存性の高い薬が複数含まれており、切らすとパニックになってしまう。
にっちもさっちもいかず転院前の医師に相談したところ『精神科の患者は鎮静剤とか睡眠導入剤を使って寝かしとけばいいんですよ』などと言われて、あまりの対応のひどさに愕然としましたよ」