1968年11月から1990年10月まで、22年にわたって放送された音楽番組が『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)だ。最高視聴率42.2%を記録したこの『夜ヒット』では、毎回生放送で多彩なアーティストが楽曲を披露した。
西城秀樹さん(享年63)の3回忌を迎えた2020年5月には、『夜ヒット』の出演シーンなどをまとめたDVD『西城秀樹 IN 夜のヒットスタジオ』(ソニー・ミュージックダイレクト)が発売されている。これには、1975年5月から1987年12月の計172回の中から120の出演シーンが収録されている。1983年から35年にわたって西城さんのマネジャーを務めた片方秀幸さんは、膨大な資料映像の中から出演シーンをすべてチェックし、権利関係がクリアできたものの大部分をDVDに収録したと語る。
「歌唱シーンだけでなく、オープニングメドレーや、歌唱前後のトークもできるだけ多く収めました。そこに自然体の秀樹さんを垣間見ることができます」(片方さん)
例えば、1980年8月4日には、ひげをたくわえて登場。芳村真理が「なぜ秀樹がひげを生やしているの?」と尋ねると、「2年連続で後楽園球場(のコンサート)が雨だったので、大阪球場は晴れてほしいから。むさくるしいけどご勘弁を!」と謝罪してから、『エンドレス・サマー』を歌唱した。その3週間後の8月25日にはひげをそって出演。無事に晴れてコンサートができたことを報告している。いまのようにSNSなどのツールがなかったため、ファンに情報を伝える場でもあったのだ。