落語家・立川志の輔が司会を務める長寿番組『ガッテン!』(NHK)が、2月2日の放送をもって27年の歴史に幕を下ろした。他にも『バイキングMORE』(フジテレビ系)や『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)など、人気番組が相次いで今春に最終回を迎える。大胆な改編の背景にあると言われているのが“若者のテレビ離れ”。各局はコア視聴率を指標に若年層の取り込みへとシフトしていくらしい。Z世代に代表される現代の若者の“テレビの見方”を紐解くことで、今後の番組制作の方向性が見えてきた。
以前より指摘されていた“若者のテレビ離れ”が、近年はより進んでいるという。昨年5月にNHK放送文化研究所が発表した「国民生活時間調査2020」によれば、16〜19歳で1日にテレビを見る人は全体の47%。20代も51%にとどまり、一方でインターネットを利用する人はそれぞれ80%、73%に達している。今やテレビではなくインターネットがメインの時代なのだ。
テレビが自宅にあったとしても、地上波を見るとは限らない。ネットリサーチを手がけるマクロミルが調査した結果、18〜19歳と20代の若者の約4割はテレビを通じてネット上の動画サービスを視聴していることが判明。テレビをネットに接続している割合は5割を超えていた(調査は2021年11月)。
こうしたメディア環境の変化を受けて、企業も新たなサービスを開発している。話題になったのは昨年12月に量販店のドン・キホーテが発売した“チューナーレステレビ”である。地上波の放送を映すためのチューナーが非搭載なので、初めからネット接続で動画を視聴することを前提とした商品だと言える。見た目はテレビでも、従来とは異なる役割を果たすようになったのだ。
このまま若者のテレビ離れはますます進行していくのかと思いきや、どうやらそうとも限らないようだ。Z世代(1990年代後半〜2000年代初頭生まれの世代)を研究対象としているシンクタンク組織「Z総研」の道満綾香氏は、若者のテレビ視聴の意外な実態を明かす。