『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)は、1968年11月から1990年10月まで22年にわたり放送された生放送の歌番組だ。毎回豪華な歌手が登場し、趣向を凝らしたパフォーマンスを披露し、最高視聴率42.2%を記録した超人気番組だ。
そんな『夜ヒット』で、多くの視聴者を魅了したのが西城秀樹さん(享年63)だろう。西城さんの3回忌を迎えた2020年5月には、『夜ヒット』の出演シーンなどをまとめたDVD『西城秀樹 IN 夜のヒットスタジオ』(ソニー・ミュージックダイレクト)が発売されている。これには、1975年5月から1987年12月の計172回の中から120の出演シーンが収録されている。
西城さんのバックを「藤丸バンド」として務め、『夜ヒット』にも一緒に出演していた、SHOGUNのギタリスト芳野藤丸と西城さんの出会いは、1974年。ロッド・スチュワートの来日公演の前座として、ジョー山中さん(享年64)のバンドでギターを弾く芳野を西城さんが見ていたところから始まる。
「その数日後、乃木坂の道でばったり出会い、『あそこで弾いてましたよね。ぼくのバックをやってくれませんか?』と、ヒデキから直接声を掛けられたのがきっかけ。当時、沢田研二さんには井上堯之バンドがありましたが、ロック志向が強かった彼も自分のバンドを持ち、自分たちの音を作りたいと思っていたそうです」(芳野・以下同)
最初は歌番組のフルバンドに芳野が加わる形でスタートし、すぐに若手ミュージシャンを集めて「藤丸バンド」を結成。
『恋の暴走』(1975年5月発売)からサポートを開始し、土日はコンサート、平日はテレビの歌番組やレコーディングに参加し、多忙を極めたという。
「ハードロックを目指していたのに、芸能界のど真ん中にいきなり入って面食らったけど、興味深かった。ヒデキが振付師から伝授された振りが、ぼくらにも伝えられましたが、『夜のヒットスタジオ』に出演し、ステップを踏みながら振り付きでギターを弾くなんて、想像もしていませんでした」