日本人選手の奮闘が目立つ北京冬季五輪の開幕直前の2月1日、日本スポーツ界で今年最初の朗報をもたらしたのは、サッカー男子日本代表だった。
11月開幕のサッカーW杯カタール大会のアジア最終予選B組第8戦。すでに7戦中2敗で同組3位の日本は、もう負けが許されない同組1位のサウジアラビア戦を2-0で制して、逆に出場権獲得へ王手をかけた。
この大一番で、貴重な先制ゴールを挙げたのは、エースナンバー10番を背負うMF南野拓実(27才)。「やっぱりチームのためにゴールで貢献したい気持ちがあった」と安堵した。しかし、そんな南野に今、強烈な向かい風が吹き始めている。
世界屈指のトップチーム、イングランド・プレミアリーグの名門リヴァプールFCに入団して2年目。今季は、FAカップ戦を中心に20試合に出場して7得点を記録。一見、数字では活躍しているようにみえるが、肝心のリーグ戦では先発出場は無し。2月13日のリーグ最下位のバーンリー戦でも、ベンチ外と出場選手枠からも漏れた。
サッカー雑誌編集者は「今のリヴァプールの攻撃陣は、世界各国の代表エースが勢ぞろい。南野選手が割って入る余地が全く無い状況です」と解説する。
エジプト代表FWモハメド・サラー、セネガル代表FWサディオ・マネ、ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノに加えて、今季からはポルトガル代表FWディオゴ・ジョタも加入。
「当初の南野は、ジョタと控え選手の席を争うはずが、ジョタはあっという間にリーグの得点王を争うほどに大ブレーク。その上、南野が日本代表に参加中の1月30日には、大物のコロンビア代表FWルイス・ディアスも移籍してきました。彼は早速チームにフィットしてしまい、先日のバーンリー戦は南野選手が押し出された形でベンチ外になったのです」(前出・サッカー雑誌編集者)
レギュラーはおろか、ベンチ入りも叶わぬ状況なのだ。あるスポーツ紙サッカー担当記者は「南野選手は、この冬に別チームに移籍とのうわさもあったが、本人が拒否したという話もあった。ただ、このままでは試合勘が鈍り、日本代表でのレギュラーの座も危うくなりかねません」と懸念する。
過去にも世界のビッグクラブ、マンチェスターUに在籍しながら、試合に出場できずに日本代表でも急速に勢いを失っていった香川真司のような例もある。南野も、今後のサッカー人生のターニングポイントに立たされているといっていい。