騒動は広がるばかりの聖隷クリストファー(静岡)のセンバツ落選問題。週刊ポストとNEWSポストセブンで、同校監督の独占告白などをレポートしてきたノンフィクションライター・柳川悠二氏が、「密室の選考委員会」の内実を追い、選考委員たちを連続直撃した。会見で選考理由について「個々の能力」を挙げて波紋を広げ、その後は沈黙を貫いてきた “最大のキーマン”と言われる鬼嶋一司・選考委員長が、ついに口を開いた。
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温暖な静岡県浜松市に粉雪が舞った2月5日、私立聖隷クリストファー高校のグラウンドでは、ナインが寒風を裂くように声を発し、ウォーミングアップを行っていた。
同校校長でもある上村敏正監督(64)を待つ間、お茶を運んでくれたのは女子マネジャーだった。選抜出場を信じて疑わなかったナインは落選のショックを振り払い、夏に気持ちが向かっているのか──そう訊ねると彼女は静かに首を横に振った。
1月28日に行われた選抜高校野球大会(3月18日開幕)の代表校を決する選考委員会において、昨秋の東海大会で準優勝だった聖隷は、まさかの落選。優勝した日大三島(静岡)に次ぐ2枠目に選ばれたのは、ベスト4の大垣日大(岐阜)だった。
聖隷の上村監督は浜松商と掛川西を春5度、夏3度の甲子園に導いた名伯楽だ。選考委員会の直後、上村監督は全メディアで初の単独インタビューに応じ、私はNEWSポストセブンで記事にした。一部を抜粋する。
「100%出場できると思っていた選手にとって、その100%を失えばどれほどの傷を負うことになるのか、想像してみてください。選手はやりきれません」
その後、上村監督は校長という立場もあり、表立って発言することを避けるようになっていく。だが、今回の選考を巡る真相が明らかになることだけが願いのはずだ。
だからこそ、私は選考の内幕を調査してきた。