これほどまでに疑問の声が上がる五輪があっただろうか──コロナ禍の中、各国の選手が熱戦を繰り広げている北京五輪では、メダル獲得のうれしいニュースだけではなく、さまざまな競技において疑惑の判定・採点や失格問題などのハプニングが続出している。このままでは、“史上最低五輪”の烙印を押されかねないこの五輪の悲喜こもごもをお届けします。
●穴にハマッてSP8位の出遅れに「氷に嫌われちゃった」
フィギュアスケート男子羽生結弦選手(27才)
3連覇の期待がかかる中、SPの冒頭で予想外のアクシデントに見舞われた羽生選手。「完璧なフォームで完璧なタイミングでいった」という得意技の4回転サルコーが、まさかの1回転で0点に。ほかの選手が滑った際に削られてできた穴にハマるという、滅多に起こりえない事態が原因だった。
SP8位と大きく出遅れてしまい、フリーでは前人未到の4回転アクセルに挑戦して巻き返しをはかるも、最終結果は4位。「悔しかったし、正直、ごめんなさいっていう気持ちもたくさんあります。報われない努力だったかもしれないですけど、挑戦しきった、自分のプライドを詰め込んだオリンピックだったと思います」と心境を吐露した。4回転アクセルは転倒したものの、ジャンプの種類としては公式大会で初認定。3連覇こそ逃したが、その偉業を世界が讃えている。
●女子選手のみ大量失格 不可解な検査に怒りの声
スキージャンプ混合団体 高梨沙羅選手(25才)
メダルが期待されていたスキージャンプ混合団体。高梨選手が1回目に103メートルと会心の大ジャンプを見せた後、スーツの規定違反で失格になった。「私のせいだ」と泣き崩れる高梨選手を、チームメートの小林陵侑選手(25)らが優しくハグして励ましたがメダルには届かず4位に。スーツ違反を指摘されたのは高梨選手だけではなく、強豪国を中心とした4チームの女子5選手に及ぶという異常事態で、各国から検査方法を巡って疑問と怒りの声が噴出している。
ノルウェーのアンナオディネ・ストレム選手(23)も「これまでの検査方法と違い、少し奇妙だった」と証言し、高梨選手も全日本スキー連盟に「検査方法がいつもと違った」という趣旨の回答をしている。全日本スキー連盟は今後、国際スキー連盟に意見書などを送付する方針で、疑惑の検査を巡る波紋はまだまだ収まりそうにない。