ただし、懸念も無くはない。これまでの長い人生ドラマの陰翳を回収する、という大切な場面が待ちうけているのです。
戦災孤児の父、親に捨てられた母。艱難辛苦を乗り越えた両親の人生を、ひなたはいかに受け止めどう着地させるか。未だ生死の分からないるいの兄・算太のゆくえは? 娘を捨ててアメリカに渡った安子とるいの再会は?
明るくお転婆なひなたを演じるだけでは不十分で、100年三代の深淵をいかに表現し視聴者にカタルシスを与えることができるのか。川栄さんはアンカーとしての重大な任務を背負っています。器用さや巧さだけではすまされない、酸いも甘いも含んだ深い演技によって物語の幕引きをすることを求められているのです。
「さすがこの人が選ばれた理由があった」と納得のラストを示すことができるか。川栄さんに課せられた出口戦略を固唾を飲んで見守っていきます。