ライフ

破傷風の致死率は1割から2割 日本の患者はほとんど中高年齢層

日本では年間数十人の破傷風患者が発生(イメージ)

日本では年間数十人の破傷風患者が発生(イメージ)

 2020年から続く新型コロナウイルスだけでなく、人類は感染症とともに生きてゆかねばならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏が、災害時に心配される感染症の筆頭「破傷風」について解説する。

 * * *
 感染症対策の解説でお馴染みの岡田晴恵です。

 今週は災害時に心配される感染症の筆頭格とも言える「破傷風」をご説明します。ちょうどポスト読者層の世代の方々には、他人事ではない病気です。

 さらに今、首都直下型地震や南海トラフ地震の危険性も叫ばれていますから、ぜひ知っておきたい感染症です。

 破傷風は世界中の土壌にいる破傷風菌の感染によって起こります。泥の中でケガをした傷や火傷の傷口、また農作業や庭いじりなどによる小さな切り傷などから、破傷風菌の種のような存在の芽胞が体内に侵入します。すると破傷風菌がそこで発芽、さらに増殖して毒素を産生します。この神経毒素が傷の周囲の運動神経から神経細胞に取り込まれ、神経機能を侵しながら、脊髄・脳神経の運動神経中枢に向かって移行していきます。

 そして、治療が遅れれば、全身の筋肉に痙攣性の強い硬直が起こり、その結果、呼吸困難になりますが、意識は清明なので本人の苦痛は非常に大きく、さまざまな治療法がなされるようになった現在でも、致死率は1割から2割にも上ります。

 日本では年間数十人の破傷風患者が発生していますが、そのほとんどが中高年齢層です。

 1968年から破傷風トキソイドワクチンがジフテリア・百日咳、破傷風3種混合ワクチンとして定期接種となりましたが、それ以前に生まれた人は、大きなケガをして治療を受けたなどの特別な理由がない限りは、破傷風トキソイドワクチンを受けていません。

 東日本大震災の後の被災地では、10例の破傷風感染者が報告されました。津波に流されたり、転倒したり、避難のときに受けた傷から破傷風菌に感染したのですが、いずれも50代以上の年齢の方でした。

 災害時には受傷する危険性も高い上に、医療どころか傷を洗い流すためのきれいな水さえないという状況に陥ります。破傷風菌の芽胞が存在する泥などの不純物や病原体を洗い去ることができないままに時間が経過してしまうと破傷風菌の感染が成立し、さらに治療が遅れると発症のリスクが高まってしまいます。

関連記事

トピックス

カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
宮城野親方
《白鵬に若手親方から評価の声出るも…》「宮城野部屋の復活」が先送りされるウラに「相撲協会執行部が“第2の貴の乱”を恐れている」との指摘も
NEWSポストセブン
気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン