昨年、富士山噴火の現象別に被害範囲や時間予想を読み解く『富士山ハザードマップ』が改定された。富士山が噴火すれば私たちの暮らしに災難が降りかかるが、それは“この世の終わり”ではない。始末が悪い火山灰に対処し、生き延びるための秘策を探ってみよう。
物流停滞の状態でも生きながらえるには
富士山噴火に備えるには、「火山噴火の備えと地震と共通の備え、両方が必要」と言うのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さん。
「地震は比較的短いですが、火山の噴火は何年も続くことがあり、終わりが見えない可能性もあります。もし大量の火山灰を降らせた場合、物流が止まっても大丈夫なように、私は最低1か月程度暮らせるだけの食料とカセットコンロを確保しています。
具体的には米30kgとネットに入った根菜類を常備しています。ガスは止まらない可能性もありますが、わが家は停電時使えないIH。しかしコンロと鍋があればご飯を炊くことができます。
麺類は水をたくさん使うインスタント麺よりも乾麺がおすすめで、乾麺のそばやパスタにすれば茹で汁で手を洗ったり、トイレを流すときにも再利用できるんです」
あらかじめ生産者と産直契約しておくのも有効だ。
体内にも部屋の中にも火山灰を入れない工夫も
桜島の火山灰と日常的につきあっている鹿児島市では、宅地内降灰指定置場が市内に6870か所あり、左写真のような「克灰袋」を配布し火山灰を収集するシステムがあり、さらに消防車両(消防車や救急車など)198台のうち54台が4WDだ。しかし噴火に無防備な首都圏ではそうしたシステムがない。
とはいえ、火山灰は乾けば舞い上がるため、各自が庭や軒先に降り積もった灰を集め袋に入れる必要がある。