北京五輪が17日間の日程に幕を下ろした。日本のメダル獲得数は18個(金3、銀6、銅9)となり、前回の平昌五輪の13個を上回り過去最多となった。注目選手が期待通りの活躍を見せた名場面もあれば、まさかの悲劇に見舞われたシーンも視聴者の印象に強く刻まれた。コロナ禍の自粛生活もあって多くの人がテレビの中継画面に釘付けとなったが、どういったカメラアングルで選手たちが映し出されるかに注目していたのが、スポーツメーカーの関係者たちだったという。
スポーツメーカーはウエアを提供するなどして選手たちを支えているが、大会期間中にアスリートが活躍すれば、中継で腕や胸、足などにあしらわれたロゴが大きく映され、多大な宣伝効果を生み出すことになる。
今回のオリンピックで際立ったのは、夏季五輪の種目に比べて競技人口が少ないウインタースポーツを長きにわたって支えてきた総合スポーツメーカーのミズノだった。大会3日目(2月6日)には、ジャンプ男子個人ノーマルヒルで小林陵侑が日本人で第1号となる金メダルを獲得。スポーツ新聞各紙が一面で大々的に報道したが、小林の右腕と左ヒザにはミズノ(ランバード)のマークが光っていた。翌日のスピードスケート女子1500メートルでの銀を皮切りに4個ものメダルを獲得した高木美帆の右胸と右太ももにも、ミズノのロゴがあった。
「ミズノは日本スケート連盟、全日本スキー連盟、日本カーリング協会の3競技団体とオフィシャルサプライヤー契約を結び、羽生結弦、宇野昌磨、坂本花織らが出場したフィギュアスケート、小平奈緒、高木美帆らのスピードスケート、吉永一貴、菊池悠希らのショートトラック、高梨沙羅、小林陵侑らのスキージャンプ、渡部善斗、山本涼太らのノルディック複合、石田正子らのクロスカントリー、ロコ・ソラーレのカーリングという7競技をサポート。オフシャルウエアやレーシングスーツを製作した。人気スポーツや注目選手が多く、ミズノのロゴが画面を独占するような状態でした」(JOC関係者)
その結果、検査方法の問題を含めて大きな話題となった高梨沙羅の“まさかの失格”をめぐって、規定違反と判定されたスーツにもミズノのロゴがあり、注目を集めた。さらには大会終盤、右胸と左ヒザにランバードのマークが入ったウエアで試合に臨んだカーリング女子が劇的な勝ち上がりで決勝進出を果たし、その姿が長く中継画面に映し出されることとなった。
ミズノ以外のメーカーでは、スノーボードハーフパイプ男子での金メダルを獲得した平野歩夢(23)のウエアにはヨネックスのロゴがあった。不可解なほど点数の低かった決勝2回目の鬱憤を晴らすかのように大技の「トリプルコーク1440」を完璧に決め、決勝3回目で逆転の金メダルを獲得したが、ゼッケンからちょうど出たあたりの左腕に「YONEX」の文字が見え、得点を待つ間に膝を立ててしゃがんでいるシーンでは右膝にプリントされたロゴもよく見えた。日本勢メダル第1号(銅メダル)となったモーグル男子の堀島行真の左腕のロゴはゴールドウイン、スマイルジャパンとして大躍進した女子アイスホッケーチームのユニフォームはナイキだった。