マスクで顔の半分以上が隠れても、長髪を後ろでまとめて、バッチリなアイメイクでオーラを放っていたのは、今年の12月31日限りで芸能活動を休止する演歌歌手の氷川きよし(44才)。2月13日、埼玉県内でのコンサートを終えて、男性スタッフらと談笑する光景だ。
レコード会社の関係者は「1月21日に年内での活動休止を発表した後は、残り1年を悔いなくやり切ろうと、一層やる気がみなぎっている様子で、スタッフらとのチームワークも良好。全員で一致団結しています」と話す。
デビューから22年。休みなく走り続けてきた氷川が、「ななかなか心と身体が思うようにならなくなり、ご期待にお応え出来ないこともあり、来年からリフレッシュの為お休みを頂く事に致しました」と、本音を吐露してまで活動ストップを決めたのは、「自分らしく生きる」ゆえだという。
氷川をデビュー時から取材し続けているベテラン芸能記者が解説する。
「デビュー20周年の前年にあたる2019年から『自分に嘘をつかない』『時代も変わって、自分らしくありのままの姿で音楽を表現できるようになった』『きーちゃんらしく、きよしくんとはさよならで私らしく』と公言するようになり、ポップスやロックを歌うようになり、美容やメイクのこだわりも積極的に発信、衣装もジェンダーレスに変化していきました。これらは、苦労したデビュー前の下積み時代から、毎日のように電話で母親に『あなたらしく』と励まされてきた影響でした」
氷川自身も、2年前に35枚目シングル『母』をリリースした当時には「振り返ると、1人で上京したときから、いつも母が僕を肯定してくれて、『たとえ世界を敵に回しても、私はあなたの味方よ』と言い続けてくれていた」と感謝を口にしていた。氷川はデビューが決まるまで苦労を重ねた。アルバイトとボイストレーニングに明け暮れ、一時はデビューを諦めるほどの紆余曲折を経て、今がある。
父はタクシー運転手。決して裕福では無かった両親だが、歌が上手な氷川を必死な思いで育ててくれたという。高校卒業後に単身で福岡から上京する際には、心配する母から『18年間育てた母より』としたためられた便箋7枚分の手紙を受け取り、羽田空港に着いてから東京モノレールの車内で読んだときには、人目をはばからず号泣してしまったという。