「酪酸菌」の増加と炎症改善の仕組み
「数時間で効果」の声も
小柳津氏によれば、花粉症克服のカギは「フラクトオリゴ糖」だという。
フラクトオリゴ糖は1分子の砂糖に1~10個のフラクトース(果糖)がつながったオリゴ糖のこと。糖質の一種で、ゴボウやタマネギ、アスパラガスなどの野菜類のほか、バナナなどの果物にも含まれている。
そのフラクトオリゴ糖により、花粉症のアレルギー症状が改善すると考えられるという。小柳津氏は次のように説明する。
「フラクトオリゴ糖を摂取すると、それをエサに大腸内の酪酸菌が増えます。酪酸菌が増えると、その働きでTリンパ球が制御性T細胞(Tレグ細胞)に分化し、Tレグ細胞がリンパ液を通じて全身に回り、外敵や異常細胞を見つけて攻撃する。その結果、炎症自体が治癒されると考えられます。
酪酸菌は大腸のエネルギー源で、すぐに吸収されてなくなってしまいます。ですから、酪酸菌が増えるためのエサを与え続けることが大切です」
人間の体には、細菌やウイルスなどの外敵や体内で発生するがん細胞などから身を守る免疫系が備わっている。その免疫系の司令塔の働きをするのがTリンパ球で、Tレグ細胞もその一種。
小柳津氏は、フラクトオリゴ糖を摂ることで、免疫細胞が増えることに着目しているのだ。花粉症の人が実践した結果、短時間で症状の改善がみられたこともあるという。
「10~30gのフラクトオリゴ糖を摂取すると酪酸菌が増え、5~6時間後にはTレグ細胞が増えて炎症が収まっていきます。花粉症に悩んでいるという方に、お昼にフラクトオリゴ糖を摂取してもらったところ、夕方に『もう良くなりました!』と電話がかかってきたこともあります。20年以上花粉症に悩まされていた人でも同様のケースがありました。私自身もフラクトオリゴ糖を摂取するようになってから花粉症の症状が一切出なくなり、花粉症がどういうものか忘れてしまいましたよ」
ただし、そのメカニズムはまだ解明されていない部分もある。小柳津氏は「摂取によって症状がよくなるという結果は得られていますが、Tレグ細胞がどう働いて炎症を抑制しているのか、まだ完全にはわかっていない」とも話し、さらなる研究の進展が望まれる。