歳を重ねれば、誰しも容姿や運動能力に衰えを感じるもの。だが、同じ年齢なのに元気で若々しい人もいれば、見るからに老けて弱りがちな人もいる。その差はいったいどこからくるのか。【前後編の後編】
自分のどこが、どんな原因で老化しているのか。それを見極め、改善を図るために導入されているのが、「老化の健康診断」とも呼ばれる「アンチエイジング・ドック」だ。
実際に「アンチエイジング・ドック」ではどんな検査を行なうのか。東京国際クリニックの高橋通院長に聞いた。
「身長と体重、血圧といった健康診断の基本に加え、筋年齢、血管年齢、神経(脳)年齢、ホルモン年齢、骨年齢の5項目を計測し、老化の兆候を検査します。その結果から生活習慣の改善や、場合によっては病気の早期発見や早期治療につなげることを目的にしています」
例えば筋年齢では、左右の握力を計測する。また、体重に占める筋肉の比率(筋肉率)や、下肢(大腿四頭筋)の筋肉量と体重から運動機能を評価する体重支持指数を判定する。この値が低いと、日常生活に影響が出やすいという。
血管年齢測定では手足の脈の伝わる速度を測定することで血管の柔軟性を調べる血圧脈派検査(CAVI)のほか、採血による検査を実施。一般的な健康診断でも行なう中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールだけでなく、合計6つの項目を調べる。
「例えばホモシステインが高くなると血管にコレステロールが付着しやすくなり、脳梗塞の危険性も高まるとされています。動脈硬化が示唆される高感度CRP値なども調べます」(同前)
脳(神経)年齢ではパソコンの前でWCST(ウィスコンシンカード分類課題)というゲームに挑戦する。
「内容はカードの共通点探しゲームです。配られた4枚のカードには色が塗られた図形が描かれていて、表示されたカードに描かれた図形の色、形、数などが同じカードを瞬間的に選択していきます。検査結果が悪い場合、前頭葉の機能が低下している可能性があります」(同前)
ホルモン年齢は採血で調べる。プロジェステロン(女性ホルモン)、遊離テストステロン(男性ホルモン)ほか、性ホルモンの維持や老化防止に関わるとされるDHEAなどの量も測定する。