ついに開幕の女子ゴルフ。人気選手が次々と誕生しているなか、最近は優勝後に「親子」で喜び合うシーンを目にする機会も増えてきた―─サラリーマン家庭に生まれ国内メジャーVを成し遂げた三ヶ島かな(25)を中心に「父と娘」の物語をお届けする。【全4回の第4回。第1回 第2回 第3回を読む】
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厳しい環境のなか、トッププロへと成長した三ヶ島。父・直さんは「反抗期がなかったのが逆に怖い」というが、何を意識して教育したのだろうか。
「放任だと思いますよ。親が黙って一生懸命やっている姿を見せれば子供にも伝わると思っています。指導では、僕は絶対に叱りません。誰かに怒るなと言われたワケではなくて、ゴルフの最中に『なんであんなところに打つんだ』と怒る人がいてイヤだったんですよ」
初優勝後、三ヶ島は両親にプレゼントを贈ったという。父には10年間分の誕生日プレゼントということでレクサスを、「お金がもったいない」と渋る母にも軽自動車を贈ったという。
「ゴルフは夢のある世界です。ジュニア世代の親は、怒るのではなく才能を伸ばしたほうがいいと思います。そして才能がある子なら、スマホを触る前に1球でも練習したほうがいい」
直さんのように、「怒らない」指導をする父もいれば、熱血指導で成功に導いた父もいる。
昨季の賞金女王で、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧は、9歳の時にゴルフを始めた。きっかけは父・了さんがゴルフを始める際に「一緒にやらないか?」と声をかけたことだった。
そこから2人は「ライバル」としてゴルフの腕を競うようになり切磋琢磨していく。3年前からはプロのコーチに師事しているが、トレーニングは了さんが考えており、「キックボクシング」に取り組んでいるのも了さんの考案だという。