疲れた時、寝ている時などに不意に襲われる激痛で、対処しようにもなかなか上手くいかないのが「こむら返り」。こむら(ふくらはぎ)での発生が多いことから名付けられた。医学的には有痛性筋けいれんと呼ばれるものの、実際は「けいれん」というより「縮んで固まった状態」からくる激痛である。若い頃は無縁でも、年齢を重ねるほど発生頻度は高まり、「60歳以上になると6%の人は毎晩こむら返りに襲われている」との報告もある。
一過性の症状ゆえ、わざわざ病院へ行くのをためらいがちだが、甘く考えてはいけない。脳出血、動脈硬化、心筋梗塞といった血管系疾患との関連性も指摘されているのだ。というのも、こむら返りを起こす人のほとんどは、毛細血管まできちんと血液が運ばれていない。体液の循環不良が引き起こすこむら返りは、重篤な病気に陥る前の警告と捉え、今すぐ血流改善を目指したい。
こむら返り対策は生活習慣の見直しから
こむら返りは、寝ているときにも激しいスポーツ中にも起こる。不意の来襲を止めるため、まずは普段から毛細血管のゴースト化に見られるような血流の悪さを解消しよう。生活習慣を見直し、糖質過多な食生活、ストレスや睡眠不足で交感神経が緊張し続ける状態は、できるだけ回避したい。
意外なところで、眼精疲労は交感神経の持続以外にもこむら返りと密接に関係している。東洋医学の理論「経筋」では、ふくらはぎの筋肉と目は同じ「足太陽経筋」に属している仲間なのだ。パソコンや携帯電話を眺め続けて目が疲れたら、それもまたこむら返りを誘発する可能性があるという。加齢による毛細血管の減少以外の要因は、自力で排除していきたい。
取材・文/山本真紀
※週刊ポスト2022年3月11日号