中国の小中高校では新年度が始まる今年9月から、最高指導者である習近平国家主席の指導思想に関する科目が新設されることが明らかになった。すでに、北京や上海など一部の大都市では昨年から試験的に授業が開始されているが、来年度から本格導入されることになる。また、これらの授業内容は大学入試にも反映されるという。
これに伴い、中国司法省(日本の法務省に相当)は今年5月1日から中国全土の小中高校に習近平法治思想担当の副校長ポストを新設し、「習近平法治思想の学習および宣伝を推進していく」と発表している。中国各紙が伝えた。
北京や上海など一部都市で昨年から始まった思想教育の授業では「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想の学生読本」という教材を使い、これまで習氏が掲げてきた「中華民族の偉大な復興」「台湾統一」などの目標やスローガンについて学ぶ。
中国指導部は2020年11月から法治部門に限定した「習近平法治思想」を提唱し始めており、「法による治国では党の全面的な指導を堅持する」「中国の特色ある社会主義的法治の道を堅持する」「中国の特色ある社会主義的法治システムの建設を堅持する」など11項目の主張を教えてきた。
今後は必修科目として「習近平思想」全般を加え、青少年に対する思想教育の強化を目指している。
教育省はこのような小中高校における全面的な習近平思想の教育展開を支える要員として、習近平思想担当の副校長ポストを新設する方針を決めた。担当者は当面、裁判所や検察、警察などの司法行政部門から推薦された専門家が務めることになり、すでに裁判官1万3801人が昨年末までに副校長を兼任しているという。