ライフ

登場から7年のオプジーボ がん治療「第4の選択肢」の地位を確立

オプジーボの登場でがんを取り巻く医療界の流れが大きく変わった(イメージ。写真=dpa/時事)

オプジーボの登場でがんを取り巻く医療界の流れが大きく変わった(イメージ。写真=dpa/時事)

 がん治療法は長年にわたって手術、抗がん剤、放射線の「3大療法」が標準とされてきたが、それが大きな変革の時を迎えている。新たな治療法の登場により、これまで3大療法では命が救えなかった症例に光が差している。

「免疫チェックポイント阻害薬」──この言葉に馴染みがなくとも、「オプジーボ」と聞けばわかる人は多いだろう。2014年に登場したこの「第4の治療法」によって、がんを取り巻く医療界の流れが大きく変わった。2018年には、同薬の開発に携わった本庶佑氏らにノーベル医学生理学賞が贈られた。

 登場から7年以上が経つオプジーボは、がん免疫療法の中で科学的に治療効果や安全性が証明された代表的な薬となり、日本だけでなく世界で「第4の選択肢」の地位を確立している。

 がん医療の流れを変えた新薬とはどんなものか。

「がん細胞は、体内の異物を排除する免疫の働きから“逃れる”ことで増殖します。がん細胞の逃避戦略の一つが、自らを攻撃しないよう免疫細胞に“ブレーキ”をかけること。本庶先生たちが開発した薬は、がん細胞が免疫にかけるブレーキ部分(チェックポイント)を邪魔して免疫細胞を正常に働かせることで、間接的にがん細胞を減らす仕組みです」(毎日新聞医療プレミア編集長で『がん治療の現在』の著書がある永山悦子氏)

 現在、日本で保険適用される免疫チェックポイント阻害薬はオプジーボのほか、キイトルーダなど6種類がある。抗がん剤はがんごとの特徴に合わせて開発されるが、

「抗がん剤とは異なり、免疫細胞の働きを助ける仕組みのため、がんの種類によって薬を使い分ける必要がなく、幅広いがんへの効果が期待されている」(永山氏)

 という。実際、メラノーマ(悪性黒色腫)から始まったオプジーボ適応のがんは、治療が困難な非小細胞肺がんや胃がんなど、現在は10種類まで増えた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン