3月6日、プロ野球オープン戦、日本ハム対巨人戦(札幌ドーム)をテレビ東京が生中継し、落合博満氏と中畑清氏が解説を務めた。監督就任以来、球界の話題の中心になっている新庄剛志ビッグボスを、落合氏はどう評価しているのか。
落合氏は、就任会見で「優勝なんか一切目指しません」と言った新庄監督について「勝つためにやるのがプロ野球。優勝しなくていいというのが出てきた時点でクエスチョンマーク」と発言する一方で、「監督だから好きなことやればいいんじゃないですか。今までなかったことをやろうとしてるわけでしょ。だから、それに関してとやかく言うことはないでしょ」と理解も示した。プロ野球担当記者が話す。
「2人は、他人の顔色を気にしないで自分の考えを実行できる。そういう面で、似ている指揮官だと思います。なかには、フロントやマスコミ、ファンの反応を気にして、思い切った采配を振るえない監督もいます。むしろ、その方が多いでしょう。しかし、落合さんは親会社の新聞社を優遇することなく、徹底した秘密主義を貫いた。普通の監督ならどこかで妥協してしまいますが、落合さんは8年間全くブレなかった。新庄ビッグボスも、今後勝てなければ風当たりが強くなるでしょうけど、現役時代からの言動を見れば、自分の意志を貫き通すと思います」(以下同)
日本ハムは昨年、12球団最低のチーム打率2割3分1厘、リーグ最低の得点454、本塁打78と打線が振るわず、3年連続の5位に沈んだ。オープン戦でもチーム打率2割2厘(3月8日現在)と打てていない。
「落合監督と新庄ビッグボスは、目指す野球も似ています。落合監督は『0点に抑えれば負けない』と投手力、守備力を整備して4度の優勝を果たした。新庄監督も『3対4』で勝つのを理想のスコアとしており、大量得点を狙う野球ではない。ともにスランプの少ない守備力を重視し、ノーヒットで1点を取ることを目指している。その意味で、今年の日本ハムには2011年の中日が参考になると思います」
2011年といえば、統一球が導入され、全球団が飛ばないボールに悩まされた年だ。そのなかでも、中日は両リーグ最低チーム打率の2割2分8厘、419得点と極端に打てなかった。しかし、ヤクルトを振り切って優勝を果たしている。リーグ最低打率チームの優勝は川上哲治監督の1961年巨人、広岡達朗監督の1982年の西武、森祇晶監督の1987年の西武に次いで4度目であり、両リーグ最低のチーム打率での優勝は史上初だった。