ビジネス

『週刊ダイヤモンド』が「士農工商・情報・物流」表記で謝罪 何が問題だったのか

差別表現があった『週刊ダイヤモンド』2022年3月12日号

差別表現があった『週刊ダイヤモンド』2022年3月12日号(3月7日発売号)

『週刊ダイヤモンド』2022年3月7日発売号の特集「物流危機」のなかで、差別表現があったとしてメディア関係者の間で波紋を呼んでいる。

 問題の記事は「『士農工商』最下層部門の危機 物流音痴が会社を滅ぼす」という見出しから始まり、冒頭に以下のような表現がある。

〈「士農工商・情報・物流」──。かつて、社内において情報部門、物流部門の地位が低いことをこう表現していた。DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業の経営戦略において重要なテーマになっている近年、情報部門は格上げされている。しかし、物流部門は今なお、最下層の“日陰者”扱いをされがちだ〉

 これについて、部落差別表現にあたるのではないか、との指摘が挙がっている。差別問題の解消に力を注ぐ部落解放同盟中央本部に訊くと、以下のような回答があった。

「記事については存じ上げておりませんが、最下層であることを意味する表現で使っているのであれば、問題があります。この件については、昨年6月に改めて『見解』を出しており、そこに次のように書かれています。

〈これまでから「士農工商〇〇〇〇」方式の比喩的表現が、しばしば繰り返されてきた。これは「士農工商えた非人」から着想を得たものであり、近世の身分序列を無批判的に援用した、部落差別の合理化につながりかねない認識であることを、あわせて指摘しておきたい〉

〈教科書で使われなくなった「士農工商」は部落差別を合理化させる危険性があるので使用を避けること、近世身分制については実在した武士身分、百姓身分、町人身分、被差別身分などの身分呼称を使用すること、何よりも近世社会において被差別身分が存在したことを明確に述べること、さらに被差別身分に対する差別と抵抗の歴史をも説明することなどを、あらためて基本的姿勢として確認しておきたい〉

 これを部落解放同盟中央本部の見解とお考え下さい」

「士農工商○○」は、これまでにも多くのメディアで問題になってきた差別表現だが、残念ながら同じ問題が繰り返されてきた。部落解放同盟でメディアにおける差別事件に取り組んできた小林健治氏は、『部落解放同盟「糾弾」史』(ちくま新書)において、こう述べている。

関連記事

トピックス

「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン