女子プロゴルフツアー開幕戦の『ダイキンオーキッドレディス』で初優勝を飾った20歳の西郷真央。最終日に首位と5打差の8位でスタートしたが、6バーディ1ボギーの67での逆転優勝だった。待望の初勝利までの道のりを支えたのは、やはり「師匠」の教えだった。
西郷は高校時代に尾崎将司が主宰するジャンボ尾崎ゴルフアカデミーに1期生として入門。高校3年の2019年に日本女子アマで優勝すると、同年のプロテストにも合格。2020~2021年シーズンでは賞金ランキング4位でシードを手にしている。
ただし2位が7回、ベストテン入りが21回あったが、優勝には手が届かなかった。日本女子プロ選手権も日本女子オープンも2位だった。昨年のこの大会では初日から首位を走りながら、最終日の17番、18番で連続ボギーを叩いて4位に終わっていた。
沖縄入りする直前まで千葉市内のジャンボ尾崎邸の練習場で調整を続けていたが、優勝会見の終盤に師匠のジャンボ尾崎から優勝メッセージが届いた。
「西郷どん、優勝おめでとう。なんといってもゴルフに対する考え方や取り組み方が優等生で、プロの中でもそのゴルフ頭脳はトップではないかと思うときがある。今回の優勝では、2位にはない副賞がたくさんもらえる喜びを知っただろう。早めの2勝目を期待する」
これまでジャンボ尾崎は毎年2月に開催されるジャンボ尾崎アカデミーのセレクションでの取材公開日に門下生の女子プロやジュニアたちについて口を開いてきた。
「うちは子供が来たら下半身強化から始める。タイヤを引っ張り、ダッシュを繰り返す。午前中は基礎体力づくりだな。ゴルフはスコアをよくするだけじゃない。一番大切なのは基礎になる体力と基礎練習の反復で、ただ球を打ったところでうまくいかない。いろんな方面から自分を攻めていかないとダメだ」
そういったなかで同じジャンボ門下生である笹生優花や原英莉花のパワーは認めながら、身長158センチ、57キロの西郷の飛距離については触れることはなかった。ジャンボ軍団はジャンボがトップダウンで技術を教える組織ではないという。軍団のメンバーが高いプロ意識を持ちながら集団を形成し、練習やラウンドを通してお互いの技術を高めていく。それだけに、ジュニアにもそういった姿勢を期待する。ジャンボはこうも話していた。
「若い子に教えるといっても、それは選手にとって10分の1や20分の1くらいの話だからね。あとは自分でつくっていかないといけない。それが個性であり、自分の実力だからね。オレはレッスンプロじゃないんだから、できるだけレッスンはしない。ただケツを叩いて“頑張らんかい”というのがオレのレッスンだね」
そういうなかで努力してきたのが1期生の西郷だった。ジャンボは「女子プロが隆盛を誇っているが、やはり取り組む姿勢が違う。男子よりもはるかに前向きだ。ライバル意識をしっかり持ち、あの子ができるなら私もできると頑張る」と西郷を評価していた。