約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年。今後必ず起こるとされている南海トラフ地震の被害規模はその10倍以上、死者は32万人を超えると予測されている。そんな巨大地震だが、どこで起きるかわからないという恐怖もある。家の中で最も危ない場所は台所だと、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは言う。
「台所には、箸やフォーク、火、包丁、食器など、危険なものがたくさんあります。ですから、地震が発生したら“1秒で台所から出る”ことを意識してほしい。私だったら、火がついていても消さずに台所から離れ、わが家では最も落下物が少なく、物が置かれていない廊下に避難します」(国崎さん・以下同)
火を消さないと火事にならないか心配だが──。
「1997年の設置義務化により、ガスコンロにはすべて、震度5程度の大きな揺れを感知すると自動的にガスの供給が止まる安心機能がついています。ですから、まずは自分の命を優先し、火の確認は、揺れが収まってから行いましょう」
国崎さんの自宅では、台所の安全性を高めるための“仕掛け”も施しているという。
「冷蔵庫などの家電には滑り止めや転倒防止金具を付けているのはもちろん、揺れで落ちかねない包丁は、使ったらすぐに洗って引き出し内に収納するよう習慣づけています」
家具・家電が倒れたり物が落ちてきては逃げる際の邪魔になる。日頃から逃げやすいよう対策をしておくことも大切だ。