谷口:ラグビー協会からは、『おっさんの掟?』の出版前後に3通ほど内容証明が届きました。ですが、私に直接文句を言ってくる“おっさん”は誰もいないんです。
間接的にネット上に書き込む人はいますね。よく見てみると、書き込む人の心理は3パターンに分けられるんです。
まずは、自分の急所を指摘されて「痛い」と感じているか、ただただ私に怒っている人。つまり彼らは自分が“おっさん”だと認識しているワケです。
次は「これって自分のことなんじゃないか」と素直に反省している人。他人事のように「こういう人、いるよね~」と書き込む人もいましたけど。そういう人たちには「これ、アンタのことやで」と言ってあげたいです(苦笑)。
意外と多いのは、男性でおっさん被害に遭い続けていて「自分もずっと大変でした」「よく言ってくれました」という人。そういう反応は直接、届きますね。
山田:森さんのスピーチに話を戻しますが、「森さん、それを言うのはマズイですよ」と耳打ちする仲間や部下はいなかったのでしょうか。偉い男性の周りには一緒になって笑っている“笑い屋”のような“おっさん”がいますよね。
谷口:“おっさん”にストッパー役を期待することはできませんね。でも、周りをおばちゃんに囲まれている男性は大丈夫だと思うんです。ただのおばちゃんではなく、「それって、おかしい」「古い」と指摘してくれる“モノ言うおばちゃん”です。もちろん、それに聞く耳をもって真摯にアップデートできる人でなければなりません。仕事先でも、私に質問してくる男性はいます。「今日は、どうだった?」「ジェンダー的な発言でアウトなことはなかった?」って。私の説明をすぐは理解できなくても、調べたり勉強したりして次は気をつけようとする男性は大丈夫です。
そうでない人は、やがて誰からも何も注意してもらえなくなって「裸の王様」になってしまいます。それがいちばん恐ろしい。そうなったら側近だけでなく、周りの人のすべてに見放されます。